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ドレスを着よう

さて、実は、展示の内容を考えているうちにはやい段階で思いついてしまったこと、それは「自分が姫のドレスを着て期間中ずっといる」というものでした。

 

なにしろ予想外に広い会場を借りてしまったので、できるだけ大きな展示物が欲しい。

折角10年に一度の、初の個展をするので、できれば在廊し続けて、見に来てくれる人全員と会いたい。

姫のイラストで認知してもらうなら、自分のキャラクターももっとたてたほうがいいのではないか。

 

というような問題を一気にクリアする妙案、だとは思うものの、これはかなり思い切りの必要な選択でした。

 

自分語りになりますが(あ、全部か)、これまで本名も顔もできるだけふせてやってきたのは、自分をさらけだして少しでも傷つくのが怖かったためです。仕事をはじめてしばらくは、親戚や友達にも自分のペンネームをしらせなかったりしました。もちろんホームページに顔写真などのせるのはもってのほか。ウェブは怖い、という刷り込みもありました。

でもここ数年で、自分というものを正面にだして、その責任をすべて引き受けている人たち(たいていの人がそうですが)を見て、もし自分がもっと先に進みたいなら、いつまでも奥にひきこもっていてはだめだなあと思い始めました。そして昨年、はじめて白ふくろう舎として顔写真とプロフィールなどを某専門家サイトにアップして思ったことは、この程度の露出では何の問題もないし、話題にもならないということ。

 

また、同業の方でも、知名度のある人は多くが、外見にも特徴をつくって人に覚えてもらいやすくするなどの努力をしていることも気がつきました。そういうことも全部ふくめて、営業努力なのだなと。これまでは、「きちんとした身なりで、相手に信頼してもらう」などの、社会人としての意識はありましたが、少し方向性を変えるべきなのかと思い始めました。

 

いっそ姫の格好ならば、着ぐるみのようなもので、むしろ堂々とふるまえるかもしれないし。

出たいのか出たくないのか、甚だ往生際の悪い心境ながら、ドレス探しがはじまりました。

 

裁縫のできない私はドレスを1から作ることなど考えもつかず、かといってこんなものをオーダーすればいったいいくらになるのか見当もつかないとなると、既製品をうまくアレンジするのが最良に思われます。となると頼りはオークション。幸い、貸衣装の払い下げなどが思ったより安く出品されています。イメージにあうもの、カスタムしやすそうなもの。オークション以外のサイトやコスプレ用の商品も相当検索しました。気づけば、このドレス探しに一番時間をかけていたような・・・。しかしその甲斐あって、かなりイメージに近いドレスを格安で落札することができました。

 

カツラやレース、アクセサリー類も準備しなくては。ついには宝塚の好きな友達に「タカラジェンヌはどこでカツラを入手しているのか」などという相談までもちかける始末です。この友達には、ぬりえなどの印刷についても相談して、非常に役に立つアドバイスを頂きました。持つべきものは、よき友です。

 

いよいよドレスのカスタマイズに着手したのは、撮影(後述します)の直前。しかもやはり自分では間に合いそうもなく、急遽実家に泣きついて母の手を借りることに。実は「母の手を借りる」ということを思いついたのも、別の同業者さんが個展をするときに「家族も総動員した」という話をきいたからでした。・・・本当に、周りのひとがいなかったらどうなっていたのかわかりません。

 

なにはともあれ、ドレスとカツラもなんとか完成しました。


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最終更新日 : 2010-09-09 05:06:32

ぬりえを作ろう

お姫様、少女漫画といえばやはり「ぬりえ」。以前から友達に、「イラストのぬりえが欲しい」と言われていたこともあり、今回はぬりえの体験コーナーと、持ち帰ることのできる販売用ぬりえもつくることにしました。

 

ぬりえには少々こだわりがあります。仕上がったイラストをDTPソフトで「主線抽出」などしただけでは、塗る側にとってはとても不親切なものになってしまいます。それに自分が子供のころ、「塗りたいもの」と「そうでないもの」は厳然とあって、背景の山だの海だの、ただ広い面積のところはつまらないとか、どこで区切っていいかわからないものは塗りにくいなどの不満もありました。あの頃の自分が喜んで塗りたくなるようなもの。子供にも簡単で、大人にはアレンジする要素があるもの。あまり高くなるのは嫌なので、そこそこまとまった数の発注をかけないと。でもこれまで自費出版や同人誌などの経験はないので、いざ印刷所に頼むのに勝手がわかりません。カツラの件を相談した友達にSOSし、彼女が利用する印刷所なども教えてもらいました。そして気がついたのです、私の個展の時期は、ちょうど同人誌界隈でも最大の祭りと重なるのだと!

 

この期間、印刷会社のスケジュールは一気に前倒しになるのです。あわてて原稿をつくりはじめたものの、結局1-2日で完成させなくてはならず、それでもなんとかギリギリ、個展の初日にはぬりえが並べられることになりました。それにしても、納期やコストも含め、ずいぶんと個人で印刷会社を利用しやすくなったものです。本当に、よい環境にいるなとかみ締めたことでした。


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最終更新日 : 2010-09-09 14:32:17

写真を撮ろう

(撮影 野呂英成)

「真夏の昼の姫展」は、展示の名前通り真夏、お盆明けの開催です。たくさんの方に来ていただきたいものの、この時期、お休みをとって帰省される方も多いはず。それにもともと東京から離れている人は、わざわざここまで足はのばせないでしょう。そしてなにより、自分が一番この展示を味わうひまがないだろうと思われます。

 

そのため、早い段階で、写真で記録を残しておきたいと考えていました。自分でスナップを撮るのは限度があるので、写真は別の人に頼もう。こういうとき、やはり頼りにするのは友人知人。何かとお世話になっているプロカメラマン、スタジオ茶華の野呂英成氏におそるおそる電話してみました。個展の開催中、1日だけ、作品と会場の様子を記録におさめていただきたい。個人の依頼は受けないのが普通だろうけれども、友人のよしみで、特別に仕事として依頼させてもらえないかと。

 

野呂さんは即答で「そういうことなら、仕事でなくていいですよ」と快諾してくださったのですが、さすがにそういう訳にもいきません。ではせめて友達価格で・・・などのやりとりをしつつ、展示の話をしていくうち、彼は「それなら当日のスナップだけではもったいない。事前に作品だけでもスタジオ撮りするべきだ」と言ってくださったのです。

曰く、最近の不況で、自分の周囲では暗い話ばかりだと。そういう中で、わざわざ大枚をはたいて、自分にとっては無理と思える会場を借りて、新しいことに挑戦するという話だけでも気持ちが明るくなる。どうせやるなら、作品も見栄えのよい形で残しておけば、後々まで利用することができる。最低限の経費だけ申請するから(そのほうが私も気が楽だろうから)、できるかぎりのものを写真で残しておきましょうと。

 

予想以上の好意にさすがに胸がつまりました。それに、きちんと作品撮りができれば、コラボレーションを依頼しているChimmieさんや青山さんにとっても、いいチャンスになると思い、感激しつつ撮影をお願いすることにしました。

 

とはいえ、撮影をするならはやいうちでないと、DMにも使えないしwebで事前告知することもできません。あわてて撮影用の小物を仕上げ、青山さんとCimmieさんにはスタジオ撮影してもらえること、間に合えば作品を送って欲しいことを伝え、当日に備えました。


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最終更新日 : 2010-09-09 05:15:56

写真を撮ろう2

(撮影 野呂英成)

 

備えました、などと書いたものの、予想通り、作品をなんとかそこそこの数だけそろえられたのは当日の朝。Chimmeさんからは前日に撮影用のお菓子が届いています。青山さんはさすがに間に合わなかったとのことで、これは残念ですがそもそも無茶なスケジュールで頼んでいることなので仕方がありません。

 

さて、スタジオ撮影といっても、なんとなく私は野呂さんがスタイリングなどはしてくださるのではと甘い期待をもっておりました。もちろん、そんなはずもなく「そこから自分でしないと、勉強にならないでしょ」との有難くも断固とした言葉に、超苦手なセッティングをはじめます。このあたりの苦労を延々話してもつまらないので割愛しますが、結果、最初の仮面の写真をとるだけで半日以上がつぶれてしまいました。

 

それでもなんとかお菓子や小物の撮影もしていただき、さらには「ドレスまでつくったのなら絶対その写真もとるべきだ!」という野呂さんの強い意見をありがたく頂戴し、次回のスタジオ撮りまで約束してもらうという高待遇を得て、第一回目の撮影は終了しました。


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最終更新日 : 2010-09-09 14:31:17

写真を撮ろう3

ドレスの写真撮り。これをすることになったために母の助力を仰ぐことになったわけですが、これは恐らく自分史上1,2を争う貴重で面白い経験でした。何しろ被写体になること自体が普段ならありえないことな上に、着ているものは結婚式でも着ないようなドレス。イラストでは散々描いているドレスもパニエも、身に着けるとなると全く勝手が違います。テーマパークで扮装写真をするようなものと思っていたら大間違いでした…。

折角プロにとって頂くなら少しでも見栄えよくしておかなくては、とつけなれないつけまつげ(こんなことならギャル雑誌で連載していた頃に、読者モデルの子たちに習っておくのでした)と格闘したり、付け爪を貼ったり。化粧もどこまで濃くすればいいのかわかりません。でも宝塚好きと吹聴している以上、がんばらなくては、とよくわからない理由で自分を鼓舞してみます。

モデルの撮影現場には立ち会うこともありますが、所詮他人事。自分でいざポーズをとろうとすると、野呂さんが困り果てるほどカチコチになってしまい、ずいぶんと時間をかけさせてしまいました。

しかし、当日実際に私をご覧になった方はおわかりかと思いますが、仕上がった写真は「詐欺か」と思うようなできばえ、これでレタッチなしです。撮影者によってここまで人間かわるのか、と感動です。

「でもなんだか”姫”というかわいらしさがでない」と不満げな野呂さんに、「でも私の描く姫は皆にどこか凛々しいとか、強そうとか言われるから、自分としては気に入っている」と伝えたところ、「なんだ、それならこれでいいね!」ということになり、めでたく撮影は終了しました。


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最終更新日 : 2010-09-09 05:33:09


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