閉じる


試し読みできます

就職活動、そして就職

話せば長いことになるのだが、そもそも大学院に行ったのは特許のネタを探しに行くためだった。今でも自分は向学心があって暇さえあれば数式をいじっているのだが、何しろ団塊ジュニア世代で受験競争はつきもの。試験の出来が悪かった私は入るまで聞いたこともないような都内の国立大にしか入れなかった。しかも夜間部。できたばかりの実績のない大学だったからはいれたのだと思うが、こんなことなら何も二浪もしなくてもすんなりこのレベルなら現役では入れたに違いない。数学科を諦め(私より数学のできる人は沢山いる)、もう少しつぶしのきく(と思っていた)情報工学科へ進んだ。今では専門学校を卒業した人が働く職業となってしまった感があるが、当時は花形の学問だったのだ。だが残念なことに、私はプログラムが全く駄目だった。手で計算できることさえパソコンにプログラムするのに時間がかかってしまう。この経歴でこの才能ではまずいと思い、大学院に進学した。とりあえず好きなことをやったが、暗号に関する調べごとをしているうちに夏になってしまい就職活動を始める。しかしどこにも受からない。研究テーマは決まっていなかったのでしどろもどろ。何のとりえもなく、研究もあいまいというのが当時の私だったのだ。まあそこは日本企業、研究テーマなんてまず見てない。学生時代の研究なんて実用にならないとみられているからだ。自分の場合は新しい応用ができればいいと思っていたのだが、博士課程への進学を拒絶されたので就職するしかなくなったまでのことだ。とりあえず金が欲しい。だから就職。やりたいことを会社に併せていろいろ変えて年明けにようやく一社から内定をもらった。面接にはロンゲで行ったのだ。これは作戦だった。そのくらい余裕のある会社がいいと思っていたのだ。年明け早々親が濃厚走狗で倒れたり40度近い熱を出して死にそうになったりとろくでもない年の始まりだったが、何とか助かったのだった。そして私は就職した。


試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格1,000円(税込)

読者登録

m-sakaiさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について