目次
はじめに
目次
目次
緑の章
ママの自転車と僕
ザ・ゲーム
引っ越しの朝
秘密の出来事
10月10日、晴れ
風に吹かれて
父の決意
うれしい落し物
僕達のお手伝い
我が家の恒例行事
おじいちゃんの仕事
青の章
旅立ち
赤い靴
省エネ
終戦
表情
招かれざる客
祈り
月下のトリオ
手すりが飛んだ日
托鉢僧 A
おしっこしてもいい?
癒しの光
本当によかったね!
雪やこんこん
不都合な真実
続・不都合な真実
続々・不都合な真実
不都合な真実・完結編
衝突5分前
不思議な体験
神様のギター
再会
白と黒の狭間で
青春、プレイバック
2人の少年
ツキはいずこに
その殻、ください
なんとか屋さん
雪山賛歌
世紀の大発見
教育談義
メッセージ・イン・ザ・ボトル
七月の変
キャット・ザ・ビジネスマン
失礼なガイド
白の章
会議の真相
悪魔との契約
ウィニング・パット
思い出の場所
国境の町
きょうの料理
ガス漏れ警報発令
史上最大の悲劇
孤独の旅路
いのちの電話
北帰行
理由
非日常の風景
口癖
無口なふたり
発明
我が家の宣伝部長
見知らぬ親戚
サクラサク
すし屋のアイドル
初節句の思い出
輝き、今再び
エール
雀荘「安土」にて
回想
新しい友人
最後の夢
素晴しき哉、我が人生
こんにちは 赤ちゃん
静寂
黒の章
浦島太郎 外伝
真説・桃太郎
金太郎奇譚
異説・花咲かじいさん
かぐや姫暴走伝説
ヒーロー不在の日
勝負あった!
現代版 カチカチ山
実録マッチ売りの少女
宇宙漁船 第3黒潮丸
だらしない3匹の子豚
救助隊、SOS その1
救助隊、SOS その2
救助隊、SOS その3
救助隊、SOS その4
北風と太陽 異聞録壱
北風と太陽 異聞録弐
北風と太陽 異聞録参
北風と太陽 異聞録四
ミッション実行不能
笠地蔵のきまぐれ
あとがき
あとがき

閉じる


<<最初から読む

15 / 101ページ

試し読みできます

旅立ち

旅立ち

 

ある雨の夜、傘をさした小さな女の子が、家の門の前で僕の帰りを待っていた。

「どうしたの。僕に何か用?」

「明日引っ越すから、おじちゃんにありがとう、って言いにきたの」

 

…今どき感心だな。でも、こんな女の子、近所に住んでいたっけ?

 

「そう、どこに引っ越すの」

「遠いところ。それじゃね、バイバイ」

そういうと女の子はどこかに走り去っていった。

 

翌朝、よく晴れた大空に向かってツバメが一羽、また一羽と巣立っていくのが見えた。

…そういえば、軒下の巣から物置の上に落ちたヒナを、巣に戻してあげたこともあったっけ。

最後まで残っていたツバメだけが僕の頭上を何度も旋回し、やがて東の空に旅立っていった。

 

 

 


試し読みできます

月下のトリオ

月下のトリオ

 

真夜中の波止場にサックスの甘い音色が響き渡る。

吹いているのは、どこかの貨物船の乗組員のようだ。

 

その音色に合わせて、別の場所から規則正しいリズムも聞こえてきた。

どうやら誰かがドラムスの代わりに、スティックで欄干を叩いているらしい。

 

雲が晴れ、満月が顔をのぞかせると、光の中に1人の女性の姿が浮かび上がった。

2人の息の合った演奏に合わせて、彼女は美しく宙を舞っている。

繊細な手足の動きは実に幻想的だ。

 

月下のトリオによる演奏と踊りが最高潮に達したのち、再び月が雲の中に隠れた。

見知らぬ3人の素晴しいパフォーマンスに酔いしれた私は、終幕後もしばらくその場にとどまっていた。

 

 

 


試し読みできます

おしっこしてもいい?

おしっこしてもいい?

 

「行ってきます」

「行ってらっしゃい。気をつけてね」

 

私は、ようやくおむつのとれた長男と河川敷にやってきた。

しばらくして長男が「おしっこしてもいい?」と聞いてきた。

だが付近にトイレらしきものはない。

周囲に誰もいなかったので、私は「いいよ、そのあたりに」と答えつつ、「自分でできるようになったんだ」と我が子の成長を喜んだ。

 

ところが長男は、私に背を向けたまま動こうとしない。

「変だな…。あっ」

長男が小刻みに身震いしたのと同時に、私は大きな思い違いをしていたことに気づいた。

 

「あれ、もう帰ったの? ずいぶん早いじゃない」

「確かに。まだ早かったね」

私は苦笑いしながら、長男とそのまま風呂場に直行した。

 

 

 


試し読みできます

雪やこんこん

雪やこんこん

 

その日は珍しく朝から大雪だった。

気がつくと2歳になる長男の姿が見えない。

玄関の扉が少し開いており、長男のコートと長靴が消えていた。

 

降り続く雪の中、小さな足跡が点々と堤防の方に向かっている。

あとを追うと、途中にあるお地蔵さんの所で足跡が消えていた。

 

「どこへ行ったのかしら? まさか…」

 

1キロ上流にある鉄橋まで来てみると、道の真ん中に不自然な形の雪だるまが見えた。

不意にその雪だるまがブルッと身震いしたので、驚いてのぞき込むと、雪だるまと思ったのは長男であった。

 

「でんしゃ、みにきたの」

「そう、よく見えた?」

コートに積もった雪を払い落としながら、私は長男の手をぎゅっと握りしめた。

 

 

 


試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格330円(税込)

読者登録

はむ☆すたぁさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について