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隻手の音声

     

     『隻手音声』  ( 隻手、声ありや!)

     
     何の隻手とやせん、 全身是れ “隻手”。 
 
     全身是れ “音声”。
 

     さて、それはそうだとして、何時までも  「霊韻、未だ鳴り熄まず」  では
 
     耳の障りとなりましょう。   (金屑貴しと雖も、眼に入れば翳と成る。)
 
     
     「白隠が隻手の声を聞くよりも、両手をうって商売(あきない)せよ」 とは、
 
     有名なおさん婆さんの了見だが、そこは白隠さん、「商ひ(あきない)が 
 
     両手たたいてできるなら 隻手の声は聞くに及ばず」 と、返したとか。
 
     
     この呼吸、曰くごもっともな 「ア・ウン」 という他ない。

     これ即ち、 「不入涅槃」 の理 (ことわり) というべし。


     それにしてもこの婆さん、「白隠の隻手の声を聴いている暇があるなら
 
     両手はたいて働け働け」 とは、堂に入ったものじゃ。
 
     一度ならずも隻手の音声を見届け、啼かぬ鴉の声を聴き届けねば、
 
     こうは言えんし、こうも行くまい。
 
     
     
     松源和尚云く、「大力量の人、甚に因ってか脚を擡げ起こさざる」
 
     又云く、「口を開くこと舌頭上に在らざる」、更に加えて、

     「大力量の人、什麼と為てか脚根下の紅線不断なる」  と。
                
                   
                     (『無門関』 二十 「大力量人」 参照)
 
 
 
 

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