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バトン

孤独が覗き込む部屋は

夢さえも疑わしい

眠れない夜は続く

 

強く握りしめたバトンを

手渡す次の走者もいない

僕はどうして走っているのだろう


嘘つき

もう何も触れないで

僕だって開けたことのない過去なんだ

 

もう何も聞かないで

これ以上嘘つきになりたくない

 

軽い話のやり取りを

突然重くしたりしないで

思わず心まで

こわばってしまう


本能

教えてよ

ごはんの食べ方を

空気の吸い方を

 

教えてよ

上手な眠り方を

明日の目覚め方を

 

教えてよ

人の愛し方を

目の前の子どもの育て方を

 

教えてよ

雷の音に怯える臆病を

思うより先に動く勇気を

 

教えてよ

まっすぐな欲望を

僕が見失った本能を

 

死ぬことを忘れて

生きていく方法を

生きることを忘れて

生きていく方法を


言葉かと

言葉かと思ったら

涙だった

愚痴みたいにこぼれていく

 

言葉かと思ったら

心だった

つぶやきみたいに漏れていく


散歩道

寒さで伸ばした背筋が

ぼやけていた今日を

見えやすくする

 

散らばっていた

時間と記憶が

一直線に繋がる

 

名前を呼ばれることのない

冬の桜の静けさに

包まれ足を止める散歩道

 

当たり前にしてることを

あえてやってみたくなって

深呼吸



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