閉じる


<<最初から読む

8 / 50ページ

台所

何も違わない毎日だからこそ

増していく違和感

 

日々の戸惑いをまとめて

千切りしていく包丁

 

積み重ねては引っ張り出す

棚の中の皿の重み


さなぎ

芋虫みたく

さなぎになれない僕は

自分で壁を

作らなくちゃいけない

 

破り捨てた勢いで

羽ばたいていけるように

頑丈な殻を

作らなくちゃいけない


不自然

自然と生まれてくる

不自然な感情

他人にも自分にも

逆らいたくなる気持ち

 

自然と生まれてくる

不自然な感情

大事なものから順番に

壊したくなる気持ち

 

自然と生まれてくる

不自然な感情

体はここにあるのに

心はどこかへ駆けて行く


降りそうで

雨に気をとられながら

影ののしかかった道を歩く

降りそうで降らない

雲がもどかしく

 

懐かしい親友と話す

それぞれの人生の近況

弾けそうで弾けきれない

笑顔がもどかしく

 

来たるべき雨に備えて

控えめな表通り

「それじゃあ」と言って

最後かもしれないさよならをする


余韻

数えきれない瞬間を

巡らせて空は

僕らの背景にいる

 

雲も

風も

朝も

命だけを置き去りにして

去って行っても

 

体に残された

軽やかな流れの余韻で

僕はこの一日を歩いていける



読者登録

udaudaさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について