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もしも話

 

 

 

ある日わたしは消える。

そしてわたしの存在を知る人もいなくなる。

 

 

 

 

 

わたしが消える前に、わたしのいない世界を

見せてもらえるそうだ。

少しの不安と期待を胸に、おそるおそる覗く。

 

 

 

 

すると先にわたしの存在が消えた母の世界が見えた。

 

 

わたしの母は、父とは違う男と結婚して裕福ではないが貧乏でもない

生活を一人息子と共にしている。

 

 

わたしの居たアパートとはまるで違う一軒家には、母とその家族の笑い声が小さく聞こえている。

寂しいけれど、幸せそうで本当に良かったなぁ。

 

 

 

髪の毛が痛んで薄くなり、沢山のアルバイトをして、

父の罵声を浴びて、ストレスを抱えて病気になってしまった母はどこにもいなかったんだ。

幸せになれたんだ。

 

 

少し息を詰まらせながらも今度は父の世界を見た。

 

 

 

 

父は、相変わらず美容院を経営しているがやはり儲かってはいないようだった。

それに恋人もいないようだが実家で暮らしていた。

祖父と祖母に大事にされながら毎日過ごしている。

 

 

 

すると、少し照れくさそうに「いつもありがとう」とプレゼントを両親に渡していた。

その顔は、男だけど、少し可愛らしかった。

 

 

毎日上手くいかない経営のストレスで子供に暴力をふるう父はいなかった。

毎日なにかに追われ、イライラする父もいない。こどもが嫌いな父もいない。

 

 

 

 

良かったなぁ。

 

 

 

本当に良かったなぁ。

 

 

 

 

よかったなぁ


3限目の科学の天使

あの子が飛んだ いつも笑ってたのに

あの子は羽がついてたんだ本当なんだよ

 

あの子が飛んだ いつも笑ってたのに

あの子は羽がついてた嘘じゃないさ

 

君は見てたかい?あの日の

3限の科学の時間に天使が来たんだ。

髪を揺らして。

 

 

あの子が飛んだ いつも笑ってたはず

あの子は羽がついてたんだ本当なんだよ

 

あの子がくれた 初めてだったんだって

あの子に羽をつけたんだ本当なんだ

君は見てたかい?あの日の

 

3階教室の窓に天使が来たんだ。

髪を揺らして。

 

 

さよなら さよなら さよなら

 

君は見てたかい?あの日の

3階教室の窓に天使が来たんだ。

髪を揺らして。

 

 

 

君は見て、高い あの子の

最後の場所に窓に天使が来たんだ。

かわいいだろ?


 

 理想と現実に悩む刑事とひねくれた少年の話。

その少年は、母子家庭で母が大好きで大切にしてたんだけどある日、罪を被せられてしまう。

 その事件が終わったら、退職を考えている刑事がその事件の担当になった。

何を話しても、抵抗しない少年に違和感を覚えるけれど証拠がなに一つない。

刑事と少年は次第に打ち解けるけれど、タイムリミットはせまる。少年が犯人になってしまう。

 けれど、少年はそれでもいいと言い続けた。

  その前に少年は、死ぬという。 

 母のことを大切に思ってきたけれど、反対の態度しか取れなかったので、

自分が死んで保険金で母に生きてほしいって言ってた。

 刑事は止めたけど、  最後に少年は

 

 

 

「どれもこれも罠ってことなんですよ。 」

 

 

って言って飛び降りたんだ。


砂漠の砂

砂漠で一人女の子が居た。

それは夜の事だったんだけど

砂漠の夜ってすごく寒いんだ。

女の子はそれなのにワンピース

一枚で、でっかい月を眺めてる。

その姿がなんか絵になっていたから

まあ、その絵を描き始めたんだよ。

売れない絵描きはファンタジーな

世界が好きなんだ。

現実逃避ってやつ。

女の子はちっとも動かない。

絵を描くこっちとしては好都合だった。

愛用の鉛筆は、変な形に尖ってるんだ。

僕は彼女の近くに寄ってその表情を見よう

と試みたが、すぐにその足を止めた。

絵描きは感がいいんだ。

僕は下書きにかかった。

月を見上げる少女、希望を見ているかのような

きらきらした表情で、彼女を書き上げた。

もう何時間経っただろうか。

すっかり月は遠くへ行き、太陽がもうすぐ出てくる。

月も太陽もない無な砂漠はなんとなく

気味の悪い異世界のようだった。

白く、息もしにくい空間だ。

僕は、彼女にその絵をプレゼントする気だった。

もうすっかり彼女に夢中になっていた。

そして、絵を渡そうと、彼女に近づいた瞬間

僕は自分の愚かさに鳥肌が立ったんだ。

彼女は金属でできた、人形だったのだ。

しかも見ているのはどこでもない、ただの空。

僕はその絵を千切って、砂漠の砂にした。

彼女の表情は、本当に、夜が似合う。


子供ごっこ

 

君は僕を酷く嫌っていた。

それは何故かと聞かれれば僕が悪い。

 

君は、僕と同じ高校で

それは進学校だったんだけど。

 

いじめもあったし、僕が知らないところで

きっとたくさん事件もあったことだろう。

 

とにかく君のことを知るのも噂からだった。

それで首を突っ込んだ僕が悪かったんだ。

 

昔から、ヒーローになりたかった。

みんなに平和をもたらし、崇められたかっただけかもしれない。

 

でも、本当に君を助けたかったんだよ。本当に。

信じてほしいんだ。

 

それで、君が噂されてる内容と言えばもう

酷かった。君は犯罪者になっていたよ。

 

それで、その君と同じクラスになったね。

顔を見て、僕は驚いたよ。

綺麗だったから、背筋がピンと伸びていて

誰からも傷つけられないような強い膜がはってあった。

 

君を見つめると、君はいつも僕を睨んだ。

それでも君を知りたかった。

 

ある放課後君を見かけた。

歓楽街に歩いていく君を。

 

暗い夜にきらきら光るネオン。

星なんかもう見えない。

君はいつも以上におめかしをして

安っぽい光の中に消えていった。

 

その後ろ姿が綺麗だった。

死にそうな、助けてほしいと叫んでいるその

華奢な腕と、足。背中。折れてしまいそうで、綺麗だ。

 

僕は、その姿を見てから

学校で君の姿をいつも以上に目で追うようになった。

 

君が休み時間屋上で煙草吸っていることも知った。

その煙は君の寿命だ。

 

君に初めて話しかけた日は、その日だ。

「君、生きてる?」

と君の煙草を取り上げながら言った。

 

「かろうじて」 

そう言いながら、君は毒をもう1本取り出した。

 

「楽しく生きたいと思わないの?」

僕は怪訝そうに言う。

 

「それをできたら、私じゃないと思う。」

君は空を見ながら少し笑った。

 

「君を助けてあげる」

僕はそうとっさに言ってしまった。

 

この言葉が君の地雷だった。

 

君は血相を変えた。

 

「簡単に言うな、何様?」

「お前は私の頭の中を共有できるっていうの?」

「興味本位でするんなら最初からするな」

「人の人生まで背負えるの?」

 

このほかにもきっとたくさんの事を言われたと思う。

君を見ると泣いていた。

あんなに光らない涙初めて見た。からからの涙だ。

からっぽだった。もう水分を出せないくらい。

 

僕は君に、多分約3ヶ月付きまとった。

その時の僕は自分をヒーローだと思っていた。

可愛い君のために助けてあげてるヒーローだと。

 

1ヶ月目は、君に無視され続けた。

僕はそれでもめげない。

 

2ヶ月目は、君がだんだんあきれてきた。

それになんだか、ちょっと顔色が悪い時があった。

話は少ししてくれるようになった。

 

3ヶ月経ったある日

君は授業中に席を外した。

僕が追いかけると、君は泣いていた。

 

「嫌いだからもう近づかないで」

 

と言ってきた。

 

君は僕のヒロインなのに、

そのヒロインとハッピーエンドじゃなきゃ気が済まない。

 

告白をした。

僕は馬鹿だ、返事を言われたあとに告白だなんて。

 

君は、放課後、僕を生物準備室に連れて行った。

そこは、ホルマリン漬けされた生物だったものが沢山おいてあった。

君もこうなればいいのに。一生綺麗だよ。

 

君は制服を脱ぎだした。

腕や足に比べて、ほんの少しだけお腹が大きかった。

 

「妊娠してる」

 

君はそう言った。

 

「そう」

と僕は言った。

 

「君の子ってことにしてよ」

「どうして」

「助けるんでしょう」

「困るよ」

「誰の子かわからない」

「困るよ、無理だよ」

 

君は最後に「ヒーローって見苦しいわね」って言って学校を出て行った。

 

それから君の席は空っぽだ。

元気かな、とか考えることもあるけど

僕は正しい判断したんだと思うしかない。

 

君は自分の足で歩いていくんだよ。

 

っていう自己満足な自己完結的ないい訳ばかりついている。

 

君は僕をひどく嫌っていた。

それは何故かと聞かれれば僕が悪い。



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