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虹をくぐって



今かすかに 雲が切れた 大きな荷物を脇に抱えて
暗い空が 明るくなる もうすぐぼくらの夢も晴れるさ
支えるもの守るもの信じたいもの
ここまで来れたならば それでうれしいよ

そうだね やまない雨はないって
あなたの歌で知ったよ ああ 今思い出した
まるで ぼくらの夢は虹のよう
たどりつけはしないけど ふっと 現われて消える

あの空へ

かたちのない ものでさえも 信じることができる ぼくらの強さ
昨日までの そのすべてが 確かな光になってゆくのさ
苦しいことつらいことわからないこと
いろいろあるけれども 今は楽しいよ

そうだね 雨が降らない場所には
虹が立つこともないのだと あなたは笑った
ほらね ぼくらの夢にもいつか
羽根が生えて飛び立つよ ああ 気づかないうちに 青空の上へ

走り出すぼくらはいつのまにか
安らぎながら輝きながら 進め

そうだね やまない雨はないって
あなたの歌で知ったよ ああ なにか懐かしい
まるで ぼくらの夢は虹のよう
たどりつけはしないけど ふっと 現われて消える

あの空へ 見えなくなるまで それでも揺るがない希望をめざして
新しい 約束をしよう 踏み出した今から虹をくぐり抜けて

あの空へ

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何もなかったように



傷ついたのは誰の心
癒されたのは誰の心
何もなかったように

騙されたのは誰の心
許されたのは誰の心
何もなかったように

何もなかったように
何もなかったように
還りゆくものだから

いつかは心やすらぎ
しあわせになれるよ
何もなかったように

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Hallucination #64



世界の悪いところいやなところがうじうじと蟲のように這い出てきて
この体を顔を腕を腹を首を指を爪を足を膝を脛をたぐるように嘗める
吐き気を催しながら喉を開けばどろどろとしたこの世界への嫌悪感が
はっきりと形になって心を蝕みさらに奥深く広がって離れられないで
ねっとりと責める重い空気が肺の中にまで押し入ってきて息苦しくて
身悶えしながらこの先まだ生きなくてはいけないというつもりですか
内蔵をえぐりえぐりかき混ぜられるようなもったりとした不安の中で
みんなみんな大嫌い不快感を押しつけて流れゆく世界がみんな大嫌い
この命の不気味さそして目から流れでる涙の生暖かさが気持ち悪くて

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でたらめの街



彼は頚を縊る瞬間
目を閉じたのだろうか
彼をさいなむ世界の総てを
見ずにすむようになったのだろうか

彼女は身を投げた時
口を開けたのだろうか
彼女の中に澱んで行った
心を全部吐き出せたのだろうか

君も家に帰り着けば
耳を塞ぐのだろうか
言葉も意志も空も水も嘘つきで
でたらめの街は時間だけが正しく過ぎて

ぼくは無機質な雑踏の中
誰にも届かないSOSの口笛を吹く
ぼくらが何も変えられないのなら
誰か代わりに生きてくれないかな

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Hallucination #68



目を閉じても目を開けても変わらない世界
暗くても明るくてもぼくはもう気にしない
ため息をつく胸の動きだけで広がっていく頭痛
薬や食事やラベル付きの時間が過ぎるのを待つ

決められたことを決められたようにやれない人びと
笑いたいように笑えないままに笑われていく
神様は見守ってくれる君だけの神様だけど
願いは妄想になってこの部屋の空気を満たす

から元気の看護婦たちは物のような人としてぼくらを扱い
少しずつぼくらは人のような物になっていく
閉じられた扉の隙間から吹くひんやりとした風だけが
この部屋に許された最後の世界へのあいさつ

はめ殺しの窓から空を飛ぶ空想をする
そんなことを話せば医者はまた困った顔をする

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