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その6「先生、これで我々同じ穴の狢ですね」

 お金にならない事件ばかり引き受けていたら、家賃の支払が厳しくなった。
「先生、私が格安で貸しますよ」
 と僕を自然派弁護士に導いた狸さんが言った。
「ここです」
 案内された洞穴。
「あ、こっち私が住んでるんですけど。先生、これで我々同じ穴の狢ですね」
 狢言いたいだけだろ。

その7 もう一人の自然派弁護士はヤメ検らしい。

 鶴さん情報によると、もう一人の自然派弁護士はヤメ検らしい。ってか、特捜にいたらしい。
「幼少期を過ごした山が開発で失われ、友達の動物がいなくなったそうです」
 それは、悲しい。
「あと、遺産で働かなくても平気だそうです。だから、この仕事できるんですね」
 やっぱりなんか嫌だ。

その8 木の葉とかどんぐりとか鼠とかじゃなく日本通貨なだけましだろ。

「刑事事件やりたくて弁護士になったけど、国選はさぁ、しんどいなー。懐的に」
 と、修習同期が言った。
 木の葉とかどんぐりとか鼠とかじゃなく日本通貨なだけましだろ。
 言いたいところをぐっと堪える。僕は自然派弁護士。動物業界で大人気だ。
 最近、この仕事が楽しくて困っている。

その9 「私だって念仏の意味ぐらいわかりますよ!」

「私だって念仏の意味ぐらいわかりますよ!」
「私が真珠もったら駄目なんですか!」
「私の小判だって!」
 口々に訴える馬さん豚さん猫さん。
 彼らを落ちつかせながら、諺作った人ってもういないよなーなんて思う。
 僕は動物界で人気の自然派弁護士。
 これも訴訟にはならないな。懐寂しい。

その10 今回の依頼人はいつもと違っていた。

僕は動物に人気の自然派弁護士。今回の依頼人はいつもと違っていた。
「戸籍が欲しいんです。結婚したいんです。ちょっと見た目が人と違うだけなのに」
 泣き崩れるろくろ首さん。妖怪に人権が認めれるかなんて、新人には荷が重い。
 とりあえず首、縮めてください、怖いです。

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