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初めての国際会議

修士課程時代、自分は国際会議には参加できなかった。
念のため説明しておくと、私がここでいう国際会議とは、色々な国の人が参加する学会である。
通常修士課程では、よっぽど優秀な人でないと国内の学会で発表するのが精いっぱいであり、国際会議はあこがれの的といった感じである(私の主観かもしれないが)。
しかしだからこそ、修士課程で国際会議に出したことがある人を見ると、劣等感を感じたりうらやましくなったりした。
そして、もっと自分も頑張ってやっておくべきだったのかなとの思いが、社会人になって数年経っても残っていた。

社会人ドクターになったとき、とにかく一度は国際会議に出して、この劣等感にけじめをつけようと思った。
しかし英語の論文は、予想通り苦しい。
私が初めて出した国際会議は、12月31日500word以内のアブストラクトの提出、4月1日フルペーパー(A4 6ページの論文)提出であった。

まずこの500wordのアブストの提出だけでも一苦労である。
本当に一つ一つの単語を調べなければならない。
文章も一つ一つ主語、述語を考えなければならない。

そしてフルペーパー。
英語以前に発表するネタを考えて、計算し、図表を作成するのがきつい。
さらにはそれを日本語で説明。
ここまででもヒーヒーなのに、ここからが本番、英訳である。
本当に作業が進まない。
ほぼ間に合わないかと思ったとき、締切が運よく2週間延長になったためになんとか提出できた。

しかし提出してからは楽しみばかり。
7月の香港での開催であったが、はっきり言って旅行気分。
まず参加者に対するおもてなしの姿勢がすごい。
香港だけに、飲茶体制が整っていて、常に好きなだけ飲み食いできる感じ。
焼売とか、コーヒーとか、ケーキとか。
さらにはハーゲンダッツアイスも食い放題。
香港サイコー。

もちろん発表の準備はしっかりしたし、ほかの人たちの発表もしっかりと聞いた。
自分に質疑応答のノルマを課した。
この発表では必ず質問をする、というつもりでのぞめば、集中力も高まるし、質問すべき部分も考えるようになる。
おかげでとりあえずの度胸も付いた。

懇親会は本当に盛り上がって楽しかったし、なんか日本の学会とは全くスケールが違うという感じ。
空き時間で観光も楽しみ、本当に苦労したかいがあったというもの。
そもそも今まで卒業旅行と新婚旅行しか、海外旅行をしたことがなかったのが、研究費で旅行(いや、ほんとは出張なんですけど)できるのがありがたい。
そのうえ英語の勉強にもなるし論文を書いて発表するという経験そのものにもなる。

はっきり言って苦労した分得られるものは非常に、非常に大きい。
これからも出し続けよう!
海外旅行のために(笑)


社会人の強み

修士課程時代、研究は大変だった。
今現在、仕事も大変である。
社会人ドクター?今大変な仕事をやる上に、さらに修士課程時代に大変だった研究をやるの?
苦しみが2倍になるんじゃないの?

やってみた経験から、1倍はまずありえません。
ただ、2倍かというと、そうでもありません。
結論から言うと、3割増し、程度でしょうか。
学生時代は、やはり研究というもの自体が初めてだし、プレゼン力も、文章作成能力など、社会人に劣る部分は多い。
社会に出てから8年後に社会人ドクターの取得を決意したわけですが、学生時代よりは意外に楽に感じたのが、プレゼン、資料作成、文章作成、プログラム作成、等々でした。
そのほかにも、目標に向かって最短距離を走る方法、自己管理能力(すなわち時間を捻出する力)などなど、あげればきりがありません。
やはり社会に出てきつい状況で成果を出す訓練は、研究にも通用するということが経験としてわかりました。

よく考えてみれば、学生時代は論文等の締切はあるものの、やはり追い込まれることが少ない。
それに対して社会人は、常に複数の締切に追われ、複数の会議、打合せの準備にも追われている。
毎日が追い込まれ続けながら成果を求められ続けるという訓練は、学生にはないものである。
必然として、能力はどんどん上がっていくようだ。
周りはできるのになぜ自分はこんなにできないんだ、と思うことが仕事をしていると多いが、それは周りに優秀な人が多いからであり、そんな人を見ていると気づかずに自分も成長しているようである。
ある意味学生という過去の経験を再度すると、あの頃ほどの苦労はなく、どうにかこうにか要領よくやっていることに気づいて驚いた。

ただこれは、けっこう楽な生活を送っています、という意味では決してありません。
当然ながらただでさえ仕事で忙しいのだから、もっと追い込まれることは間違いありません。
言いたいのは、2倍ほどつらくはなりませんよ、数年間の社会人経験が、大変さをせいぜい5割増しぐらいに抑えてくれますよ、ということです。


社会人ドクターへの第一歩となる最初の行動は何か

なんとなくやろうと思う。
ずっとやろうと思うけど今は忙しい。
いつかやろうと思っているけど何から始めていいかがわからない。
始めるってすごく大きな決断な気がして足がすくんで動けない。

社会人ドクターに限らず、転職や資格の学校に通うとか、少し大きな決断となると、このように考えてしまう人が少なくない。
自分も、何度足がすくんで動けなくなり、そのたびに自分の勇気や決断力のなさに嫌気がさしたことか。
でもこれは自然なことである。
問題は、どうやってこの思いを断ち切ったか。

結論から言うと、特に断ち切ったわけではない。
ただ小さな第一歩から踏み出した。

そもそもこういう大きな決断となると、すぐにゼロイチ思考で考えてしまってゼロを選択してしまう。
やるかやらないか→今はやめておこう。

でもゼロの次はイチではなく、例えば0.01だと思うのです。
第一歩は、どこの大学に行こうか、なんとなくネットサーフィン、これは立派な第一歩だと思うのです。
そして次の一歩を踏み出せばいいのです。
次の一歩は、例えば資料請求。
こういうことをやって例えば5つほど大学のパンフを集めると、今度はそのパンフをながめる。
これも第3歩目(?)なのです。
この時点で0.03です。
そこでしっくりこなければ、やめる選択をしてもいい。
まだ気になることがあるのなら、例えば面白そうな研究をしていそうな教授や研究室があったら、またそれをネットで調べればいいのです。
また0.04になります。

こういうことを細々とやっていけばいいのです。
はじめから、やるかやらないか、と考えるよりもよっぽどいいです。

そもそもやるかやらないかを考えるには、ゼロの状態では材料が少なすぎます。
「考える」という言葉、頭だけで思考をめぐらすというイメージが強いと思います。
でもそれではふつう何も生まれません。
私は「考える」という言葉は、「調べる」に近いと思っています。
調べて材料をそろえていると、どんどん気になることがさらに出てくる。
それを調べ続けていると、自然に「こうしたい」、「やっぱりめんどくさそうだからやりたくないかも」などという結論が見えてくるのだと思います。

気負わずにネットサーフィンという第一歩を始めましょう。

もっとも、社会人ドクターをやってみたいと思ってこの本を見つけてくださった方は、もうとっくにゼロの域は脱していらっしゃるのでしょう。
その調子で頑張りましょう!
全力で応援します!



社会人ドクターの1週間

月曜日。
やばい。
論文を昨日までに提出しなければいけなかったのに、まだできていない。
先生にご迷惑をおかけしてします。
なんとかしないと。
とりあえずは3時半起床。
日課の15分ランニングの後、着替えて寝ている妻と子を横目に家を出発。
4:46の電車で出発。
職場の最寄駅までは約80分、乗換は3回。
都内在住、職場は神奈川だから、けっこう座れることも多い。
ましてやこの時間であれば、確実に座れる。
今日のスケジュールを手帳で確認しつつ、うとうと。

6:00最寄駅着。
ガストに寄る。
ここで朝食を食べながら研究活動。
新聞もただで出てくるしプレミアムカフェでドリンク飲み放題で355円は安い。
8時前に職場へ出発。

21時まで仕事。
22時半帰宅。
家族は寝ている。
夕飯食べて風呂に入って23時半就寝。

火曜日。
3時半起床。
眠い。
でもがんばって走って昨日と同じパターン。
8時までガストでやるが、終わらない。
やばい。
先生にご迷惑が。。
21時まで仕事。
22時半帰宅。
23時半就寝。

水曜日。
3時半に起きようとするも、早くも疲れがたまったのか、5時起床。
寝坊。
あー、起きれなかった。
妻に寝坊しちゃったというと、体が休みを欲していたのでしょ、よかったでしょうとなぐさめられる。
久しぶりに家族と食事して6時半出発。
久しぶりにいつも通りの時間に出勤。
せっぱつまってなきゃこんなに余裕がある生活が送れるのに。
早く論文終わらせないと。

でも今日は飲み会。
6時終業。
飲みに行く。
泥酔。
電車に乗るも、山手線をぐるぐるして変な駅で降りる。
タクシーで帰宅。
時間も金ももったいない。

木曜日。
当然ながら早起きできず、5時起床。
二日酔いでぐったり。
罪悪感。
当然勉強できず。
だんだんとあきらめムード。
もう週末にかけようかな。

金曜日。
二日間研究していない罪悪感から、意地の3時起床。
電車勉強。
ガスト勉強。
なんとか出社前に2時間できた。
22時半帰宅。
明日は休みだからちょっとゆっくりして、24時就寝。

土曜日。
6時起床。
とりあえず休日の日課である、息子を連れての朝散歩した後、みんなで朝食。
幸せ。
休日の食事の片づけはなんとなく自分の仕事になりつつある。
時間を生み出そうとして購入した食洗機がフル回転。
9時に家の近くの喫茶店、ベロチェへ。
180円コーヒーで12時まで勉強。
ようやく終わりが見えてきた。

お昼は家に帰ってみんなで食事。
幸せ。
30分のつもりで昼寝。
しかし疲れがたまっていたのか結局2時間も経過。
油断したか!
けどとにかくやらなきゃまずいので3時半から今度は家の近くのガストへ。
2時間勉強。

夜は家に帰ってみんなで食事。
「パパが家にいないから・・」
妻の不満がでてきた。
やばい。
明日はちょっとみんなでお出かけしないと。

日曜日。
5時起床。
家の近くのロイヤルホストへ。
ここでようやく終わりが見えてきた。
8時帰宅。
朝食を家族と一緒に。
「今日は午前はおでかけしよか。」

昼食後、研究。
ようやく終わった論文を先生へ提出。
一週間遅れ。
すみません。。

でも夜はとりあえず一段落したので350ビールを。
幸せ。
今週もあまり一緒にいられなくてごめんね。


とまあ、こんな感じの一週間です。
これはまあ大変な時の一週間。
締切に追われていないときはここまで早起きしたりはできないかな。

家族との食事時間が幸せです。


この本の内容は以上です。


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