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はじめに

はじめに
 
 
この本は、テーブルトークRPGのリプレイです。システムは「りゅうたま」。
「テーブルトークRPG」及び「リプレイ」に関する説明は、ここでは省きます。
 
テーブルトークRPGわからないという方は……申し訳ありませんが、
ここを読んでみて、感覚的に理解できるというならば良し、
わけがわからないという場合は、上記キーワードで検索でもかけてみてください。
とりあえず前提として、今回は4人で遊んでおり、3人がそれぞれ自分の「キャラクター」を操作し、1人が物語の進行役を担っているという形です。
 
では、今回の旅へ――。
 
 
 

旅人データ
 
 
ひとは、一生に一度、胸おどる旅に出る。
この3人の旅は、探索の旅。
伝説の「しゃべるシャベル」を目指して――。
 
 今回は、ミト王子とカークス(カクさん)、キャテリーヌという3人旅。
 ミト王子は地方の小国の王位継承者で、世直しに必要だという伝説の"しゃべるシャベル"を求めて、諸国漫遊の旅をしています。
 ――日本人なら耳に馴染みのあるBGMが、どこからか聞こえてきそうな一行です(笑)
 
ミト・アルヴィーゼ・ガクトワ
パーティのムードメーカーにして元気いっぱいの王子様。わりと何でも首をつっこみます。
28歳 男    ノーブル/マジックタイプ
体力4 敏捷6 知力8 精神8   HP12 MP15
プロフィール:イメージカラーは金か黄色。諸国漫遊の旅をしながら、しゃべるシャベルを探索中。
装備:先祖代々の中古の弓、中古でださい雪靴、中古でださい雨よけマント
 
カークス
王子のお供というか……突っ込み役というか(笑) パーティの判断役でもあります。
24歳 女     ハンター/テクニックタイプ
体力6 敏捷8 知力6 精神6   HP15 MP8
プロフィール:先祖代々の家臣、お目付役として同行
装備:中古の剣、中古でださい登山靴、中古の雨よけマント
 
キャテリーヌ・トレーシー
「春夏冬(あきない)」という技で各地の特産品を売りさばき、パーティを富ませる人。
カークスと同様王子の突っ込み役でもありますが、こらちは冷静なコメントが光るタイプ。
19歳 女     マーチャント/テクニックタイプ
体力4 敏捷8 知力8 精神6   HP15 MP12
プロフィール: ガクトワ家出入りの商人 今欲しいものはペットとしゃべるシャベル
装備:中古の短剣、中古でださい雪靴、中古の雨よけマント
 
 
 

承前
 
街づくりシートをプレイヤーに埋めてもらって、今日も旅に出発なのです。
この時はプレイ2度目だったか、3度目だったかで、
キャラにもプレイにも慣れてきた頃。
そして、GMの使う『竜人』もレベルアップをして、旅のお手伝いをしやすくなりました。
 
GM   今回は、緑の竜人メグのレベルが上がったので、旅の最中に1回だけ、旅人のお手伝いができるようになりました。
キャット 何をしてくれるの?
GM   何がいい? 「旅日記担当の旅人が600Gを入手できる」のと、「故郷を思って旅をしていると、精神系異常を1回無効にできる」のと、「旅の目的を演出すると、天候の目標値修正を1回無効にできる」のがあるよ。
カークス 天候のは、大雨とかでも普通に行けると。それお得かも。
キャット わかりやすくて使いやすい。
GM   じゃ、ブレスは「旅の物語」ね。私が使うと竜人が割と見ているだけになりがちなので、欲しかったらお祈りでもしてお願いしてくれると嬉しい。『竜人さん竜人さん』って。
 
GM   まず今回の確認。旅日誌の係……は、決めるまでもないのか。
ミト   わくわく。わくわく。(と、旅日記の用紙を受け取る)
GM   あと、マッパーが一人必要らしいよ。知力が一番高い人がマッパー向き。
カークス 知力、確か8に上げてなかったっけ。
キャット ああ、上げてある。
GM   あとは、代表者が一人野営の係をすることになる。「敏捷+知力」が高い人。
カークス 敏捷には自信があるけど、一緒じゃないかな、みんなひょっとして。
ミト   いや、すごい人がいた。どっちもd8。
カークス じゃ、キャットにお任せ。
ミト   テント係ー。
 
 

今回の町
 
 「りゅうたま」では、旅の舞台になる町の設定を、参加プレイヤーが共同で作成します。
 まずは、マスターが「街づくりシート」に必要項目を書きます。
 
街の名前 マーフェン
街の規模 町(人口1,000人)
代表的な人物 
地勢と気候 荒れ地に囲まれており、町のわずかな周辺以外は不毛の地。60年程度に1回、まとまった雨が降る
代表的な建物
特産品
街の色・匂い・音
街を脅かすもの
 
 マスターが書いた内容を下敷きに、プレイヤーが設定をイロイロ書き足します。
 今回の場合は……
 
街の名前 岩の波マーフェン
街の規模 町(人口1,000人)
代表的な人物 Y氏…遺跡を発見した人
地勢と気候 荒れ地に囲まれており、町のわずかな周辺以外は不毛の地。60年程度に1回、まとまった雨が降る  地下水路が街に張り巡らされている
代表的な建物 遺跡、街の支配者のでかい墓(盗掘済み)、オアシス
特産品 魔除けグッズ(効果は気分次第)、沙漠の砂を詰めた砂時計、山羊、羊、チーズ、サボテン、なつめやし、岩塩
街の色・匂い・音 乾いた空気、巻き上がるほこり、窓の小さな家々 隊商
街を脅かすもの 日差し
 
 こんな感じ。
 
ミト   というわけで、名前に1個加えました。
GM   『岩の波』。おー! なんかかっこいー!
 
 

“岩の波”マーフェン
 
GM   ――では、(町づくりシートを見ながら)旅の舞台は、“岩の波”マーフェン。荒れ地に囲まれ、地下水が張り巡らされている町です。ちなみに季節は初夏。町の規模は、端から端までじっくり見て回っても1時間かからないくらい。
カークス 結構ちっちゃい。
GM   で、町のまわりにナツメヤシがあって――あれって、町のまわりだよね?
ミト   うん、だと思う。
GM   で、町は荒れ地だって聞いていたんですが、町の周辺には、くるぶしくらいのちっちゃい葉っぱがつんつんと。町が全体的に芝生な感じです。
カークス 今、雨期なのかな。
GM   町のど真ん中に広場があって、今日は市とかはないけど、小さめのお店とか露天市とかが。
キャット おー。
GM   あと、広場の中心に、木製の大きな櫓。
カークス 櫓?
GM   盆踊りに真ん中に作るような奴。あれの作りかけ。あと、表通りにはたくさんの色のついた細長い布みたいなのがひらひら風になびいていて、町が飾ってある感じ。
カークス 何でしょうね。祭りでもあるのかな。
キャット 新巻鮭を売りに行こう。(←前回の旅で仕入れた特産品)
GM   多分、新巻鮭は珍しがられて高く売れると思うよ。
キャット 早く売らないと消費期限が! ショバ代がいらないなら、ここで売り払っていいですかね。適当な敷物とか……ないけどいいか。
ミト   マントでも?
キャット マントでもそれっぽく敷く。へい安いよ安いよー。
GM   や、安いの? 高く売るんじゃないの?
キャット 売り文句だもん、言うだけ。――へい安いよ安いよー。(笑)
GM   では、2、3人が足を止めて、「お姉ちゃん、それ何だい?」
キャット これはねぇ……何だったっけ。
カークス “伝説の新巻鮭”。
キャット そんなに大きくしていいの!?
GM   まあ、ここからあの町まで行く人はいないだろうけど。
キャット お客さんお目が高い。これはねえ、グラスアウト名産品の新巻鮭でございます。
GM   「新巻鮭。聞いたことがない名前だね」
キャット まあ、ざっくり言うと、……サカナ?(笑)
カークス ざっくりすぎない? こう、『保存用の魚』とか。
GM   「大きいねえ。しかも赤いねえ。どんな味がするのか想像もつかないよ」
キャット あ。お客さん見たことないんですか。これはぜひ買って食べていただかなくては。美味しいよ~。
ミト   ここは一かけだけ切ってあげるとか。
キャット じゃ、ちょっと削って試食。お客さーん、これはオマケだよ? 食べてみてよ。お客さんにだけだからね~。
カークス うわー。なんかズルイ。
ミト   感心して後ろから見ていよう。
 
結局、新巻鮭8本をミトの「春夏冬(あきない)」で売り、原価40%増しで売却です。
ちなみにミトの新巻鮭うんちく効果で、判定に+1されてあったり。
 
キャット 1,120G儲かった。
GM   では、お互いが満足する商談になりました。……なったのかな。(笑)
ミト   一番スッキリした顔をしている。うんちく語れたからそれで満足。(笑)
GM   「祭りに合わせて、ちょうどいいごちそうが手に入りましたよ。ありがとうございます」
カークス お?
ミト   祭りとはなんですか?
GM   「おお? 祭りのことを知らないでこの町に来たのかい?」
ミト   そうなんですよー。
GM   「うちの町ね、いつもは全然雨が降らないんですけど、つい1週間くらい前にまる1日雨が降り続けまして。それでこんなふうに、水撒き草が80年ぶりに咲いたんですよ」
全員  80年!?
ミト   何そのハレー彗星。
GM   「本当なら50年か60年おきで、長生きをすれば2回くらいは見れるよねって感じなのですが、ここ最近はずーっとまとまった量の雨がなくってね」
カークス ふーん。
GM   「それで、この花が咲いたら祭りをするという伝承がありまして。その祭りが自分たちの代の時できるっていうので盛り上がって――ほら、そこに櫓とかがあるでしょう」
カークス あー。そういうことなのか。
GM   (町作りシートを見つつ)「――そうそう、Y氏って知っていますか? 有名な人なんですけど」(笑)
カークス 私は知らないかも。
ミト   知っている気がする。
GM   「知力+知力」かなー。それで10。
カークス (ころころ)あー。ダメだ。
GM   「Y氏という人がいまして、……少し先にある遺跡の発見者なんですが、その人に町に来ていただいて、祭りの再現をしてもらおうと」
カークス へー。
GM   「あなた達も祭りまでいるといいですよ。いい商談があるかもしれません。今から宿を取れば、泊まりっぱぐれるってこともないでしょうしね」
キャット もちろんいる。そんな珍しいことになっているなら。
ミト   儲かったし、いい宿に?
キャット 前みたいな雑魚寝じゃなくてね。
カークス コンディションの下がらない宿!
ミト   そんなに人が集まってくるなら、しゃべるシャベルの噂とか!
キャット あー。…………そうか。
GM   ……急にテンションが下がったね。
キャット 忘れていたよ。新巻鮭売って満足していた。
ミト   忘れるなよー! 旅の目的だよ!!
 
GM   ええと、宿屋の名前、名前……町作りシートから何か引っ張ればいいのかな……。
ミト   水撒き屋。
GM   いや、それは、たまにしか使えないから……えーと、ナツメヤシとか。
ミト   民宿なつめやし。(笑)
キャット 民宿かよー。
カークス のれんがかかってそうだね。染め抜いて。
GM   じゃ、民宿なつめやし。干したなつめやしが店内にずらっと飾ってあるような?
ミト   おー。つまんでいいのかな。
カークス 聞いてからにしてください、ぺし。
ミト   怒られた。
GM   王子、立場低すぎる。
キャット 庶民派すぎる。
GM   宿は、まだ部屋は空いていますよーと。今は外装の補修中。
カークス あ、祭りに備えて。
 
お宿は8泊の予定で部屋を取り、部屋代は2日分を前払いで払いました。
3人で夕飯込みで2日間120G。……旅ってお金かかかるんだなあと思う瞬間。
 
ミト   ご飯、楽しみだ。
GM   じゃ、ミトさんがじーっとナツメヤシを眺めていたことに気づいたのかどうか知りませんが、……ナツメヤシ使った料理ってなんだろう。
カークス そんな料理があるのかな。
GM   お皿に山盛りの生ナツメヤシでいいんだろうか。
カークス いいんじゃない、そんな感じで。
ミト   どーん! やった、とうとう来たー!
GM   あとはスライスサボテンと、山羊肉の煮込みとかかな。
ミト   ごちそうだー!
GM   で、あなた方が食べている時に、宿屋のおじさんが、お酒か何かあるかしら……この中で出せるもの。「サボテンのお酒、おごりだよ」って。
カークス おー。ご馳走様です。
GM   「いやいや。あのね、ちょっと頼まれてほしいことがあってね」
カークス 依頼とセットか。
ミト   そこまで言われてピタッと止まる。(笑)
GM   「あんた達は旅の人だよね。少し、路銀を稼いでいかないかい? 信頼できそうな旅人がいたら、声をかけといてくれって頼まれててね」
ミト   頼まれ事の頼まれ事か。
キャット どんな伝言ゲームだ。
GM   「頼み人はうちの裏に住んでいる男の子てで、だから依頼料は多分大したものは出せないと思うんだけど……、色をつける必要があるなら俺からも出すからさ」
ミト   サボテン酒を見つつ。(笑)
GM   「受けてあげて、もらえないかなあ?」
ミト   とりあえず、まずはお話を。
GM   「今日はもう子供には遅いから、明日の朝にでも来させるよ」とおじちゃんは引っ込むんですが、しばらくごはんを食べていると、とたたたたた、って音がして、裏口がばんっ、って開く。
ミト   なんか来たー!
カークス 子供の行動力だ。
GM   10歳くらいの男の子がきょろきょろっとまわりを見て、「あんた達、あんた達?」と、ばたばたと寄ってくる。
ミト   多分……あんた達。
GM   おばさんが「コラッ、静かにしなさい」っていうと、ぴたっと止まって、「ご、ごめんなさい」
カークス 素直ないい子だ。
キャット 大人は今ね、お酒を飲んでいるんだよ。――だから、騒がしくしないでね!
ミト   冷たいー!
GM   おずおずと、「あのね。頼み事は、この町から北西にあるユスルクス山っていう――」
ミト   (旅日記に書きながら)ゆするくす、山?
GM   あ、いや、名前なんか別なのにしよう(町作りシートを見て)岩塩山……うーん。えーと、『ひつじのおしり山』。(笑)
カークス すごい急にじもてぃな。
ミト   や、でも一発で覚えた。形状が浮かぶなあっていうか。
GM   「ひつじのおしり山の山頂に生える草を、うーんと……腕一杯持ってきてほしいんだ」
ミト   ほうほう。その霧吹き草っていうのは?
GM   「ボクっちにいくと、ちゃんとした絵があるんだけど、形がね」って、指で必死に描こうとするだけど……ここには、植物の知識があるような人はいないんですよね?
カークス わかりません。
キャット じゃ、それを見せてもらえるとありがたいな。
GM   とあなたが言った時に、ぱたぱたぱた、ばんっ、って戸が開く。
カークス また来た。
GM   気の強そうな、男の子と似た顔立ちの女性が「クレス、こんな遅い時間に何をしているのっ!」と。男の子は「大事な話があったんだもーん!」
ミト   まあまあまあ。
GM   「あんた1回ベッドに入ったでしょ。大人しく寝ていると思ったら!」
ミト   パジャマかそれ!
GM   女性はあなた方に頭を下げて、「すいませんねえ、明日うちにでもいらしていただければ、ちゃんとしたおもてなしもできますので」
ミト   あ、どもども。では明日伺います。
GM   で、彼女はひょいっと男の子を抱え上げ、「母ちゃん何すんだよー」と男の子の抗議を右から左に流しつつ、周囲にぺこぺこおじぎをしながら去っていきます。
ミト   お店の人に、今のは? と聞くね。
GM   「うちの裏に、青銅細工の店があって、そこがこの酒場の裏口と、庭1つを挟んで接している状態。そこんちの子だよ」
カークス いつでも来れる感じ。
ミト   あー。なるほど。
GM   「子供はクレスっていうんだけど、あれと兄ちゃんも小さい頃はよく遊びに来ていてね。どっちが家だと思っていたのやら」
ミト   でも、おじさんも気にしてなさそうだな。こりゃあ困っていないな。
GM   「悪ガキだけど、悪い子じゃないよ」
キャット まあ、悪ガキとはそういうもんだ。
 
そして、翌日。
 
 


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