目次
▲はじめに
◆はしがき
◆目次
▲序章「離婚は人生の一大イベント」離婚でどんな問題が起きるか
◆1 離婚をすることは悪いことか?
◆2 どんな場合に離婚できるか
◆3 法律上の離婚と事実上の離婚
◆4 裁判所が離婚を認める場合
◆5 うまく離婚できたケース
◆6 上手に離婚するための心得
★MEMO 離婚件数は微増
▲1章「離婚は別居から始まる!」離婚が前提の別居と問題点
◆ストーリー1 別居をするとどうなるか
◆1 別居の開始
◆2 別居の問題点はなにか
◆3 別居はどのようにするか?
◆4 別居中に心得ておくこと
◆5 別居中の協議離婚の言い出し方
◆Q&Aによる…別居をめぐる紛争と問題点
◆Q&Aによる…別居をめぐる紛争と問題点
◆2 別居中で当面の生活費にも困っているが
◆3 夫が愛人と蒸発し借金取りが来て困っている
◆4 生活に困っているので蒸発した夫名義の土地を売りたい
◆5 夫の暴力で別居先から強引に連れ戻された
◆6 別居をいつまでも続けていると離婚原因になるのか
★判決「別居中、家財道具を取りに行くと住居侵入になるか?」
★MEMO 他の女と同棲している夫からの離婚請求が認められた例
▲2章「約9割を占める!」協議離婚の仕方と問題点
◆協議離婚での話し合いと手続き
◆1 協議離婚の準備開始
◆2 離婚届の出し方と撤回
◆Q&Aによる…協議離婚の仕方と問題点
◆1 離婚に同意したがその後に気が変わった
◆2 協議離婚をしたがその日の生活にも困っている
▲3章「別れるときは子供が大切!」離婚で子供の問題はどうするか
◆離婚で子供はどうするか
◆1 親権者・監護者になりたい
◆2 親権者と監護者の取り決め方
◆3 子供の養育費・氏などはどうなるか
◆Q&Aによる…子供をめぐる紛争と解決法
◆1 別居中だが離婚をして子供を引き取りたい
◆2 夫の母が子供を引き取って育てると言っているが
◆3 離婚後、子供が一緒に生活したいと言っている
◆4 子供を引き取ることになったが養育費はどう決めるのか
◆5 離婚の際に取り決めた養育費を上げてもらいたい
◆6 子供の養育費を五年前までさかのぼって請求したいが
★MEMO 親の浮気相手へ、子供からの慰謝料請求
★MEMO 面接交渉権──離婚後も子どもに会いたいとき
▲4章「離婚後の生活を守れ!」慰謝料・財産分与の請求
◆慰謝料・財産分与の請求をしたい
◆1 慰謝料・財産分与はどうするか
◆2 慰謝料・財産分与はいくらか
◆Q&Aによる…慰謝料・財産分与請求の問題点
◆1 協議離婚で念書をとっておくことは必要か
◆2 離婚の際に取り決めた支払いを守ってくれない
◆3 婚姻届を出してないのに慰謝料を請求するといわれた
★コラム 年金分割制度
★MEMO すでに財産分与がなされた場合の慰謝料の請求
▲5章「話し合いは感情的になるな!」協議離婚の話し合いと問題点
◆離婚の話し合いはどうするか
◆1 協議離婚の交渉の難航
◆2 調停申立てを前提とした別居の解消
◆Q&Aによる… 離婚の話し合いをめぐる紛争と解決法
◆1 とりあえず協議離婚して慰謝料などは後で交渉しようと思うが
◆2 離婚に応じてもよいが慰謝料・財産分与の額を上げたい
◆3 離婚を要求されているが離婚せずに生活費はもらいたい
★MEMO 離婚を請求されたときの対抗法
★MEMO 婚姻破綻後の夫婦間の契約は取り消すことができない
▲6章「紛争は家庭裁判所へ!」調停離婚の仕方と問題点
◆調停での離婚はどうするか
◆2 調停の開始と注意点
◆3 離婚調停はどう進められるか
◆4 調停不調と対応策
◆Q&Aによる… 調停離婚の仕方と問題点
◆1 調停の申立書の書き方と費用はどうなるか
◆2 調停で支払いの約束を守らせるにはどうするか
◆3 調停不調でどういう場合に審判に移行するか
★MEMO 調停は妻からの申立てが七割を占める
▲7章「どんな場合に別れられるか?」裁判で認められる離婚原因
◆どんな場合に離婚原因となるか
◆1 どんな場合に離婚できるか
◆2 民法の定める離婚原因
◆3 離婚原因についての考え方
◆Q&Aによる… 離婚原因をめぐる紛争と解決法
◆1 夫の不貞(浮気)を理由に離婚したいができるか
◆2 勝手に家を出て生活費もくれないので離婚したい
◆3 精神病の姉の面倒を夫が見ないので離婚させたい
◆4 行方不明の夫と離婚したいが当座の生活費に困っている
◆5 生死不明の夫と離婚し再婚したいが離婚できるか
◆6 精神異常で実家に帰った夫と離婚したい
◆7 夫の虐待・侮辱で別居中だが離婚し生活費を要求したい
◆8 夫婦生活がうまくいかずお互いに気まずいので離婚したい
◆9 姑との不仲で実家に帰ったところ離婚を要求された
◆10 心臓病を隠していたことを理由に離婚してくれと言われた
◆11 浮気をし家を出て行った夫から離婚を迫られている
◆12 婚姻前の経歴詐称を理由に離婚したい
◆13 姑が夫婦の間に干渉するので離婚したい
◆14 夫の宗教活動を理由に離婚したい
◆15 夫が家事や育児に全く協力しないので離婚したい
◆16 夫が失業して酒びたりになり家庭の不和が絶えない
◆17 夫の暴力がひどく身の危険を感じる
★MEMO 姑などの第三者が原因の離婚
▲8章「判決を得て別れるために!」裁判による離婚の仕方と手続き
◆離婚するための最後の手段 離婚の裁判はどうするか
◆1 訴訟の依頼はどうするか
◆2 訴状の作成と提出
◆3 訴訟の進行と別居
◆4 証人尋問と本人尋問
◆5 裁判所の判決と対応策
◆Q&Aによる… 裁判離婚の仕方と問題点
◆1 行方不明の相手と離婚するための手続きは
◆2 外国人と離婚する手続きはどうなっているか
◆3 単身赴任した在外の夫への離婚訴訟はどうするのか
◆4 離婚裁判で費用はいくらぐらいかかるか
◆夫婦・親子・男女間の紛争の関連法律
★MEMO 年金分割請求は平成二〇年までの累計で約一万四〇〇〇件
▲9章「離婚で生じる問題もある!」離婚後に起こる問題と解決法
◆離婚後にどんな紛争が起きやすいか
◆1 離婚後に起こる主な問題
◆2 金銭的な問題
◆2 金銭的な問題
◆3 子供に関する問題
◆Q&Aによる…離婚後に起こる紛争と解決法
◆1 面接交渉で子どもを返してくれない
◆2 別れた妻が子供の世話をしていない
◆3 離婚した前の夫につきまとわれている
◆4 離婚した夫が金をせびりに来る
▲終章 今後を生きるために…
◆はじめに…
◆1 友人に相談するより弁護士に直接相談する
◆2 弁護士を探し、頼むには
◆3 離婚には精神的自立が必要
◆4 立派な離婚をし、今後を生きるために
◆各種の法律相談先
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◆はしがき

 日本でいちばん古い離婚は、古事記にある伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)の二人の神様の「ヨミの国」での離婚だろう。神様でさえ離婚しているのだから、人間はもっとキラクになってよかろう。とはいえ、神様は別れたあともキラクだが、人間はナマミの生活があるからキラクに別れるといっても手配が必要となる。この本はその手配の本である。
 じつは「女性のための離婚講座」という題で長年売れてきた本であるが、このたび形を一新した。
 夏子という主人公の離婚は、かなりキラクな離婚である。現実はこうはいかない。しかし、離婚の法律をわかりやすく説明するためのスジとして設定したのだから、そのつもりで、まず夏子の離婚をサラリと横になって読み、もう一度スジを追って呼んでいただくしくみになっている。つまり離婚法の説明である。
 なお今回、統計データを最新のものに更新し必要な修正を加えた。
 離婚を考えている女性、考えざるを得ない女性のために、本書が励みになり、かつ役に立てば幸いである。
平成二三年二月一日
著者記す


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◆目次

序章「離婚は人生の一大イベント!」離婚でどんな問題が起きるか
1 離婚をすることは悪いことか?…2
2 どんな場合に離婚できるか…7
3 法律上の離婚と事実上の離婚…12
4 裁判所が離婚を認める場合…17
5 うまく離婚できたケース…19
6 上手に離婚するための心得…23

1章 「離婚は別居から始まる!」離婚が前提の別居と問題点 27
ストーリー1 別居をするとどうなるか…28
1 別居の開始…28
2 別居の問題点はなにか…30
3 別居はどのようにするか? …34
4 別居中に心得ておくこと…41
5 別居中の協議離婚の言い出し方…46
Q&A 別居をめぐる紛争と問題点…53
1 別居する場合にはどんな点に注意するか…53
2 別居中で当面の生活費にも困っているが…54
3 夫が愛人と蒸発し借金取りが来て困っている…58
4 生活に困っているので蒸発した夫名義の土地を売りたい…60
5 夫の暴力で別居先から強引に連れ戻された…61
6 別居をいつまでも続けていると離婚原因になるのか…62

2章 「約9割を占める!」協議離婚の仕方と問題点 65
ストーリー2 協議離婚での話し合いと手続き 66
1 協議離婚の準備開始…66
2 離婚届の出し方と撤回…75
Q&A 協議離婚の仕方と問題点…81
1 離婚に同意したがその後に気が変わった…81
2 協議離婚をしたがその日の生活にも困っている…83

3章 「別れるときは子供が大切!」離婚で子供の問題はどうするか 85
ストーリー3 離婚で子供はどうするか…86
1 親権者・監護者になりたい…86
2 親権者と監護者の取り決め方…87
3 子供の養育費・氏などはどうなるか…94
Q&A 子供をめぐる紛争と解決法…98
1 別居中だが離婚をして子供を引き取りたい…98
2 夫の母が子供を引き取って育てると言っているが…100
3 離婚後、子供が一緒に生活したいと言っている…102
4 子供を引き取ることになったが養育費はどう決めるのか…103
5 離婚の際に取り決めた養育費を上げてもらいたい…105
6 子供の養育費を五年前までさかのぼって請求したいが …107

4章 「離婚後の生活を守れ!」慰謝料・財産分与の請求 109
ストーリー4 慰謝料・財産分与の請求をしたい…110
1 慰謝料・財産分与はどうするか…110
2 慰謝料・財産分与はいくらか …116
Q&A 慰謝料・財産分与請求の問題点…121 
1 協議離婚で念書を取っておくことは必要か…121
2 離婚の際に取り決めた支払いを守ってくれない…123
3 婚姻届を出してないのに慰謝料を請求すると言われた…125
コラム 年金分割制度…127

5章 「話し合いは感情的になるな!」協議離婚の話し合いと問題点 129
ストーリー5 協議離婚の話し合いはどうするか…130
1 協議離婚の交渉の難航…130
2 調停申立てを前提とした別居の解消…134
Q&A 離婚の話し合いをめぐる紛争と解決法…140
1 とりあえず協議離婚して慰謝料などは後で交渉しようと思うが…140
2 離婚に応じてもよいが慰謝料・財産分与の額を上げたい…142
3 離婚を要求されているが離婚せずに生活費はもらいたい…143

6章 「紛争は家庭裁判所へ!」調停離婚の仕方と問題点 147
ストーリー6 調停での離婚はどうするか…148
1 離婚調停の申立てはどうするか…148
2 調停の開始と注意点…153
3 離婚調停はどう進められるか…157
4 調停不調と対応策…161
Q&A 調停離婚の仕方と問題点…170
1 調停の申立書の書き方と費用はどうなるか…170
2 調停で支払いの約束を守らせるにはどうするか…171
3 調停不調でどういう場合に審判に移行するか…173

7章 「どんな場合に別れられるか?」裁判で認められる離婚原因 175
ストーリー7 どんな場合に離婚原因となるか…176
1 どんな場合に離婚できるか…176
2 民法の定める離婚原因…183
3 離婚原因についての考え方…192
Q&A 離婚原因をめぐる紛争と解決法…199
1 夫の不貞(浮気)を理由に離婚したいができるか…199
2 勝手に家を出て生活費もくれないので離婚したい…201
3 精神病の姉の面倒を夫がみないので離婚させたい…202
4 行方不明の夫と離婚したいが当座の生活費に困っている…204
5 生死不明の夫と離婚し再婚したいが離婚できるか…205
6 精神異常で実家に帰った夫と離婚したい…206
7 夫の虐待・侮辱で別居中だが離婚し生活費を要求したい…208
8 夫婦生活がうまくいかずお互い気まずいので離婚したい…210
9 姑との不仲で実家に帰ったところ離婚を要求された…211
10 心臓病を隠していたことを理由に離婚してくれと言われた…212
11 浮気をし家を出て行った夫から離婚をせまられている…214
12 婚姻前の経歴詐称を理由に離婚したい…216
13 姑が夫婦の間に干渉するので離婚したい…217
14 夫の宗教活動を理由に離婚したい…218
15 夫が家事や育児に全く協力しないので離婚したい…220
16 夫が失業して酒びたりになり家庭の不和が絶えない…221
17 夫の暴力がひどく身の危険を感じる…223

8章 「判決を得て別れるために!」裁判による離婚の仕方と手続き 225
ストーリー8 離婚の裁判はどうするか…226
1 訴訟の依頼はどうするか…226
2 訴状の作成と提出…229
3 訴訟の進行と別居…233
4 証人尋問と本人尋問…239
5 裁判所の判決と対応策…244
Q&A 裁判離婚の仕方と問題点…250
1 行方不明の相手と離婚するための手続きは…250
2 外国人と離婚する手続きはどうなっているか…252
3 単身赴任した在外の夫への離婚訴訟はどうするのか…253
4 離婚裁判で費用はいくらぐらいかかるか…255

9章 「離婚で生じる問題もある!」離婚後に起こる問題と解決法 257
トーリー9 離婚後にどんな紛争が起きやすいか…258
1 離婚後に起こる主な問題…258
2 金銭的な問題…259
3 子供に関する問題…262
Q&A 離婚後に起こる紛争と解決法…264
1 面接交渉で子供を返してくれない…264
2 別れた妻が子供の世話をしていない…266
3 離婚した前の夫につきまとわれている…268
4 離婚した夫が金をせびりに来る…269

終章 今後を生きるために… 270
1 友人に相談するより弁護士に直接相談する…270
2 弁護士を探し、頼むには…272
3 離婚には精神的自立が必要…273
4 立派な離婚をし、今後を生きるために…275

各種の法律相談先 277

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◆1 離婚をすることは悪いことか?

◇1 離婚は身近なもの


〈突然の駆け落ちによる家出〉
 ちゃんとした生活をしていた奥さんが、訪問販売のセールスマンと親しくなり、ふらふらと家出をしてしまった。昔の話ではない、数年前の話である。
 教養もある奥さんで、そんな行きずりのセールスマンに迷うとは信じられない──と、知人も近所の人たちも驚いたものである。
 だが、どうやら本当だとわかったとき、驚きから醒めると、みんなが本当にだれ一人、その奥さんの悪口など言わなかった。本当にいい奥さんだったのである。だれが見ても。
 あるおばさんは言った。
「あたし、何だか本当にわかる気がするよ。いろいろあったんだよ、きっと。女ならだれしもそんな気持ちになることがあるんだよ。するかしないかの違いだけさ」
 ついていった相手のセールスマンというのが、周りのみんなが知っている下品な笑い方をする若い男であっただけに、その奥さんの心根を哀れに思ったのである。御主人の方はなにしろ、すばらしいエリートだったのだから。

〈二年後には別れていた〉
 セールスマンはそれっきり、二度と姿を現さない。ついていった奥さんの姿がないのはもとより、消息さえも知ることはできなかった。でもやはり、だれも彼女の悪口は
言わない。それほど皆が好意を持つ、いい人柄の奥さんだったのである。
 筆者の知り合いの女性がこれもやはり同情して言った。
「そうね、あのセールスマンは、ほんのきっかけにすぎなかったのよ。でないと家出なんかちょっとできないものね。よく勇気があったわ」
 エリートの御主人の方も決して近所から嫌われるような男だったのではない。
 彼も寂しい生活をしばらくおくった末、家を処分して、どこかへ行ってしまった。

◇2 離婚と法律問題

〈離婚するかしないか〉
 しかし、このだんなが私の法律事務所へやって来たとする。逐一事情を聞く。だんなは冷静に、しかし、もちろん自分の見地から事情を述べる。
 弁護士というのも妙な職業で、こうなれば事件を自分の依頼者の立場で考えることになる。
 むろん、この場合は奥さんが悪い。悪いばかりでなく愚かだ。思ったほど行く先にいいことがあるはずはない。馬鹿な、気の毒な女性だ。──と、この御主人と一緒に慨嘆した上で、さて、どうしたものかと考えるのである。
 といっても、この場合にたいしていい知恵はない。要は離婚するか、しないかである。離婚なら手続きは簡単だ。
 こうして法律事務所には、いろんな種類の離婚問題が持ち込まれる。それらはすごく実務的である弁護士にとっては迷いなどない。離婚できるか? 手続きはどうするか? 問題がまだ渦中にある時であれば、どうしたらうまく離婚できるか? というのが質問だ。
 上手な離婚方法。これが弁護士に要求されるニーズであり注文である。この本の中心テーマも「上手な離婚方法」ですすめていくことになるのだが、しかし法律事務所に来る以前の、離婚しようかしまいか迷ってる段階についても、まず触れなければなるまい。

〈離婚は結局心の問題〉
 「上手な離婚方法」だけを求める読者にとっても、離婚のテクニックの一つとして、この段階からの理解が必要になる。
 離婚は最後は心の問題だ。「いやだからいや」という、心の中でも心の臓腑みたいな部分、それを主張するのが離婚の主張だ。
 むろん、経済的な要素、その他の現実問題も離婚の理由になる。その典型が条文にあげられた離婚原因だ。が、やはり最後は心の問題、本心のことになる。
 それが他の法律──、契約などの単純な利害の世界と違うところだ。
 離婚などしないにこしたことはない──。などとはこの本は必ずしも思ってはいない。離婚した方がいい場合も多い。
 とはいえ離婚を賛美するわけではない。思うのは、「離婚する状況などないにこしたことはない──」ということである。
 よい結婚生活があることは、実にいい。しかし、悪い結婚生活があるなら、道は三つしかない。

 1 我慢して一生終わる
 2 改善する
 3 離婚する

 いちばん気楽な(偽善者的な)言い方は改善だ。努力してお互いの協力で生活を改め、仲良くする──。家庭裁判所の調停委員などがいつも口にして、ありがたがる方法であるが、これはたいていダメだ。人の性格がそう簡単に変わるものではない。
 偶発的な事件、一時の浮気とか、倒産による貧乏とか、──そういうことなら話は別だ。一過性の、がんばっているうちに変わることかもしれない。しかし、原因が人の性格にある場合は、改善は難しい。捨てられる人を、世間は気の毒がるが、捨てられる人には捨てられる性質があるのだ。いい人を、だれも捨てはしない(自分についても同じことが言える)。

〈離婚するか我慢するか〉
 人の性格はまず変わらないから、結婚生活が望むように改善されることはめったにない。これが、法律事務所からみた人生の姿だ。となると離婚以外の方法は、我慢。これしかない。
 むろん、我慢はいいことである。できるに越したことはない。
 何事にも我慢はつきものであるが、我慢ができない状況、言い換えれば「離婚する状況」になれば離婚をしたほうがよい。むろん、我慢した場合と、離婚した場合と、どちらが得策か、比較の問題になる。
 しかし、その点は現在と昔では状況が大いに変わってきている。今日なぜ離婚が増えているのか? 状況が変わっているからである(表1参照〓)。
 状況はどのように変わっているのか? この点の理解と離婚問題とは切り離して考えることはできないのである。それは女性に自活の道が開けるようになったことだ。もちろん問題はいろいろある。が、昔とは大違いだ。
 この点があるからこそ、離婚を容易なものにしているし、この点を見誤ると、離婚をもっぱらに悲惨なものに考え過ぎて、判断を誤ることになる。道は開けるものである。

◇3 離婚をすると悲惨な運命をたどるとは限らない

〈家出した後の女性の運命〉
 冒頭のセールスマンと共に姿を消した奥さんについても、実は後日談がある。一時の衝動に身をまかせて後は、男に捨てられ、悲惨な運命をたどったであろう──、
などと思うのは昔の観念を捨てきれない人だ。
 別に転落するでもなく、堅実で質素な、しかも明るい生活を築いていた。見栄を捨てれば現在では女性の職業は案外と多いのである。
 彼女の場合は、夫のもとを去り、社会的な束縛から逃れることによって、かえって道が築きやすくなったようである。
 今日、社会の変化を考えないで、離婚問題の結論をだすわけにはいかない。
 最後に残るのは離婚によって影響を受ける子の問題であろう。しかしその問題でさえも、昔とは状況が大きく変わりつつある。
 社会は動いている。


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