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2008.1.31 黒川能へ行くまで



〈黒川能〉というものがあることは漠然と知っていたけれども、お能に興味を持つ前はもちろん、能楽堂通いを始めてからも、およそ自分には関わりのない世界だと思っていた。

イメージ的には山奥の隠れ里に伝わる秘事で、とても生半可な興味で覗けるものではないし、そんなディープなところまで入り込んだら日常には戻れなくなってしまうのではないかと、魔女のサバトか何かのようなものを思い描いていたふしもある。

ちょっと勘違いっぽいぞと気づいたのは、木白山さんやクリコさんという(たぶん)うら若い女性ブロガーたちが単身で出かけた記録を読ませてもらったからだ。黒川は山奥どころかひらけた庄内〈平野〉だし、最近では外来者のために保存会が親切に援助もしてくれるらしい。

それでもまだ敷居が高いと感じていたところ、一緒に行きたいと言ってくれる方があって、ふたりならなんとかと、勇気を出して申し込んでみた。

王祇祭はあくまで神事であるし、一日目は民家での興業だから、やたら大勢のひとに押しかけられても立ちゆかない。部外者の参加は抽選とされ、かなり倍率も高いと聞いていた。試しにと申し込んではみたものの今年はないだろうと半ば思っていた。

それが年も押し詰まった頃、当選通知を受け取って、さあ大変。冷静に検討してみると関西から山形までは気の遠くなるほど遠い。往復込みで四日は潰れる。仕事のほうはただでさえ限界状況。

でも、まあ、行ってしまった。あとは野となれ山となれ(ごめんなさい>ご迷惑をおかけした方々)。

寒さと冷えに弱いので、いきなり雪の王祇祭は冒険だったけれども、結果的には、雪国の美しさに圧倒されて帰ってきた。今思い出しても、あの雪景色に優るものが日本にあるだろうかと思う。

京都にはそれこそ日本の誇る建築物や名園がたくさんある。でも、あの雄大な自然の、あまりに寡黙な、そして清冽な景色の前には、所詮人間の造った騒々しい都ではないかという気もする。京都と山形では住んでいる神様の性格もずいぶん違っていそうだ。

黒川能以前と以後とでは〈山形〉という響きがまったく違って聞こえる。山形、素晴らしいです(v_v)●日程メモ

 1/31:新幹線を乗り継いで鶴岡へ。ホテル泊。
 2/ 1:13時過ぎのバスで王祇会館へ。受付。
    夕方引率されて当屋へ。
    18時から翌朝5時すぎまで観能。
 2/ 2:早朝より祭事。観能。
    18時過ぎ、タクシーで鶴岡へ。
    温泉に浸かってから夜行寝台「日本海2号」乗車。爆睡。
 2/ 3:早朝京都着。

 *最も便利な交通手段は飛行機だと思う。ただ雪で飛ばなかったらどうしようとどきどきするのを避けるため今回は列車にした。
 *「日本海号」は、ベッドに横たわったまま京都まで移動できる〈魔法の絨毯〉のような列車で、次回があったら往復ともこれにしたいと思ったけれども、どうやらこの3月からダイヤが変わって京都←→鶴岡間では利用しにくくなってしまう。残念。

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最終更新日 : 2012-01-15 04:21:25

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2010.02.02 王祇祭(春日神社能舞台)

黒川能・王祇祭(山形・春日神社)2月2日

一夜明けて……。

今日は、春日神社にて両座立合能。
脇能から初めて昨日とは逆順に式三番までを演じます。難波/高砂/大地踏/式三番。

「難波」(上座)
旅の朝臣が摂津難波で梅の木陰を浄めている老人と若者に会い、難波の梅の由緒について教えられる。夜になると、梅の神霊である木華咲耶姫と王仁が現れ天下泰平を祝福して舞う。



ワキツレの小さな子たちが上向き加減に一生懸命謡う姿がツバメの雛のようで可愛くてなりません。

 

王仁作とされる難波津の歌
――難波津に 咲くや この花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花――

〈花〉といえば、今は〈桜〉ですが、昔は〈梅〉だったのですね。それは知っていましたが、すると木華咲耶姫まで梅の精になってしまうのですね。そうかぁ。

とにかく長くて朦朧としていたので、木華咲耶姫を見た記憶がない…(_ _;)

「高砂」(下座)


これは前夜に見たのと同じ演目ですが、役者は総入れ替えで全員別。木守の姥も大人でした。

下座は、全員舞台の右側の橋掛かりから出てきて、上座とは左右対称の配置で座ります(笛方がシテ柱の近くに見えます)。

「難波」が2時間、「高砂」も2時間、この時点で午後2時。
お祭自体が4時に終わるとパンフレットには書いてありますが、もはやあり得ません(>_<)

「大地踏」(両座)

 

左が上座(男装)、右が下座(女装)。

大地踏の稚児も、前夜とは別人です。
上座が齋藤真之介くん(7歳)、下座が成田誠矢くん(5歳)。
今年の大地踏組は総じて小声の子が多かったですね。

「式三番」(両座)

 

所仏則(ところぶっそく)の翁。上座の翁太夫さんです。

「所仏則」の式三番は、普通の式三番とは趣を異にし、釈迦の仏法を広めることを主としているのだと解説書にはあります。


三番叟は、昨夜下座当屋と同じ清和正俊さん。二度も見られて嬉しいです。

しかし、やはり三番叟のあたりから、背後では若衆たちが尋常ごとに向け騒然としてきて……

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最終更新日 : 2012-01-15 04:21:25

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奥付



黒川能ー王祇祭


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著者 : 松村栄子
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