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君のうなじは木の芽みたい。
分かるかな。
引っこ抜きたくてうずうずする。
触れたくて、触れたら折ってしまいそうで。
だから俺は、そっとくちびるで、そこに触れる。

起きた時、ひかりの下に君の頬があったりすると、
摘みとりたくて俺はひとりぐるぐるとする。
ほっぺとほっぺのキスをしたね。
まぶたとまぶたのキスもした。
でも俺は、耳と耳でしたキスが、いまもいちばんわすれられない。

指にいれた君の髪はさらりと落ちて、
いつも俺に残ってくれず。
いい匂いだね。
せめて匂いくらいは俺に残して欲しいのに。
でも俺の匂いが好きっていって、
胸にうずもれる君の鼻を、見下ろす瞬間は何にもましていとおしく。

俺が泣いたのは、君がいなかったからじゃない。
淋しかったからじゃない。
いつもいつも君がいる。
それがどれほどの幸せかって、
思い知っただけなんだよ。

君が好きです。
すげえ好きです。
めちゃくちゃ好きです。
たまんないくらい好きです。
いつか好きって気持ちで押し潰すんじゃないかって、
泣く俺に、
同じくらい好きなら潰れないんじゃないのって。
笑った君に、また泣いた。

君が好きです。
白い羽のような鎖骨も、
食みたくなる栗色の髪も、
迷路のように浮く蒼い血管も、
俺だけに見せる、追われた顔も脚も声も。

君が好きです。

君が、好きです。


この本の内容は以上です。


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