目次
ご挨拶とあらすじ
ご挨拶&あらすじ&筆者紹介
魔法少女ウサギ
魔法少女ウサギ 1-01
魔法少女ウサギ 1-02
魔法少女ウサギ 1-03
魔法少女ウサギ 1-04
魔法少女ウサギ 2-01
魔法少女ウサギ 3-01
魔法少女ウサギ 3-02
魔法少女ウサギ 3-03
魔法少女ウサギ 3-04
魔法少女ウサギ 4-01
魔法少女ウサギ 4-02
魔法少女ウサギ 4-03
魔法少女ウサギ 5-01
魔法少女ウサギ 5-02
魔法少女ウサギ 6-01
魔法少女ウサギ 6-02
魔法少女ウサギ 6-03
魔法少女ウサギ 6-04
魔法少女ウサギ 6-05
魔法少女ウサギ 7-01
魔法少女ウサギ 7-02
魔法少女ウサギ 7-03
魔法少女ウサギ 8-01
魔法少女ウサギ 8-02
魔法少女ウサギ 9-01
魔法少女ウサギ 9-02
魔法少女ウサギ 9-03
魔法少女ウサギ 9-04
魔法少女ウサギ 10-1
魔法少女ウサギ 10-2
魔法少女ウサギ 10-3
四月一日の魔法少女
四月一日の魔法少女 1-01
四月一日の魔法少女 1-02
四月一日の魔法少女 2-01
四月一日の魔法少女 2-02
四月一日の魔法少女 3-01
四月一日の魔法少女 4-01
四月一日の魔法少女 4-02
四月一日の魔法少女 4-03
四月一日の魔法少女 5-01
夏の始まりの魔法少女 7-01
夏の始まりの魔法少女
夏の始まりの魔法少女 1-01
夏の始まりの魔法少女 2-01
夏の始まりの魔法少女 2-02
夏の始まりの魔法少女 3-01
夏の始まりの魔法少女 4-01
夏の始まりの魔法少女 4-02
夏の始まりの魔法少女 5-01
夏の始まりの魔法少女 6-01
夏の始まりの魔法少女 7-02
夏の始まりの魔法少女 7-03
夏の始まりの魔法少女 7-04
夏の始まりの魔法少女 7-01
僕の報われない物語
僕の報われない物語 1-01
僕の報われない物語 2-01
僕の報われない物語 3-01
僕の報われない物語 4-01

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ご挨拶&あらすじ&筆者紹介

『ご挨拶』

 みなさん、初めまして。
 あるいは再び当サークルの同人誌に目を通して頂きまして、まことにありがとうございます。
 サークルHP:http://www.geocities.jp/hagi_inthesky/asita.html

 文芸サークル『明日から休講です。』は、文学フリマでの同人誌発表を方針としています。
 第十二回文学フリマで発表した同人誌『魔法少女あした☆キューコ』が会場で完売したため、今回はパブーにてDL販売をしてみることにしました。
 パブーで同人誌を再編集したため、実物とは多少異なる部分がありますが、作品自体のおもしろさは変わっておりません!

 今回の同人誌『魔法少女あした☆キューコ』は、今をときめく『魔法少女』をテーマにした同人誌です。
 参加メンバーが三者三様の作品を掲載していますので、ぜひとも好きな作品を探してみてください。
 素敵な魔法少女が君に襲いかかる!



『あらすじ&筆者紹介』

・魔法少女ウサギ
 中学生の舞羽ウサギは、町の平和を守るために戦う魔法少女。
 使い魔のカーくんと一緒に、魔物退治に励んでいる。才能を努力で埋め合わせて、ライバルのキツ ネと腕を競わせる日々を送っている。
 そんなとき、彼女の元に『ある裸』を写した写真が送られてきた……。
 ×
 兎月竜之介
 スーパーダッシュ文庫『ニーナとうさぎと魔法の戦車 1&2』が絶賛発売中。
 一九八七年生まれの群馬勢。分福茶釜→足利尊氏→向井千明→イニシャルD→まどか☆マギカ→日常→ねこむすめ道草日記→兎月竜之介というのが理想の流れ。
 サイト『気刊・文芸モンゴル』 Twitter ID: usaginabe

・四月一日の魔法少女
 エイプリルフールに話しかけてきたのは、ひとりぼっち仲間の元クラスメイトだった。
「私、実は魔法少女なんだ」
 他愛のない嘘、いつも付けているミトンの手袋、嘘に隠された本当の自分――僕の前に現れた、不思議な彼女の正体とは!?
 さらにアフターストーリー『夏の終わりの魔法少女』も掲載。
 ×
 すみやき
 jump Novel Grand Prix ’09 Summer ジャンプ小説新人賞フリー部門特別賞を受賞。
 一九八七年群馬生まれ群馬育ち。焼きまんじゅうに囲まれつつ、時折からっ風に漂いつつ、こんにゃく芋を投げつけ、侵入者から地を守る。そんな群馬県民らしい生活がしたい二十三歳の天秤座。好きな言葉は「五万円あげようか?」。
 ブログ『炭焼@執筆中』 Twitter ID: sumiyaki0903

・僕の報われない物語
「どういう文句で小説は始められるべきなのだろう?」
 小説作法から始まった僕の物語は、魔法少女と出会ったことで、魔法世界の現実を浮き彫りにしていく。
 小説は糖衣錠か菓子か……この本を手に取った『あなた』に問いかけるメタフィクション。
 ×
 須江岳史

 一九八五年生まれの魔法使い候補。経済学のバチェラー(=独身、学士)。

好きな呪文は「ゲム・ギル・ガン・ゴーグフォ」

 サイト『堆積するシュクリッタ』 Twitter ID: 11sue8


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魔法少女ウサギ 1-01


 魔法少女ウサギ:兎月竜之介


 01

 民家の屋根に飛び乗ると、周囲の様子を手に取るように把握することが出来た。

 時刻は午後十時を過ぎた辺りで、住宅地は窓から漏れ出る光でキラキラしている。高所から見下ろすと、ロウソクに火を灯して並べたような暖かさが感じられた。それらに混じって見られる街灯の光は、無愛想なまでに真っ白でとげとげしい。

 住宅地に人の気配はない。学生や会社員が帰宅する時間はとうに過ぎている。誰も彼もが己の住まいに帰り、家族と一緒に団欒していたり、あるいは自分の時間を楽しんだりしている。

 屋根の上に立っているのは一人の少女だった。

 身長から判断した限りでは、年齢はせいぜい十三か十四といったところだろう。ただ、目鼻立ちがハッキリしているせいか、不思議と年齢よりも大人びて見える。写真の被写体に収まるような……どこか物憂げな表情も、そのように感じ取らせる要因の一つだろう。

 おとぎ話に出てくる羽衣のように、長く伸びた黒髪が風に吹かれてなびいた。

 少女が目を細める。彼女の持つ赤色の瞳は、まるで血の色に濁った月のようだ。

 けれど、実際は彼女の容姿自体よりも、むしろ彼女が着ているコスチュームの方が目立っている。

 ぴったりと肌に張り付いている黒いレオタード。それをベースとして、肩と腰の周りには白いフリルが大きな輪を描くように装飾されている。

 体のラインがくっきりと浮き上がっているのにもかかわらず、二の腕まである黒い長手袋、太ももまであるオーバーニーソックス、膝まであるブーツと、肌の露出だけは妙に少ない。それが相まって、肩や脇の下、太ももの付け根といった露出部分が白く輝いて見える。

 何よりも特徴的なのが……カチューシャで付けられているウサギの耳だろう。レオタードと同じく、毛色は黒で合わせられている。ちゃちなものではなく、毛はふさふさで厚みがあり、まるで本物のウサギの耳が生えているかのようだった。

 そして、彼女の手にはステッキが握られている。腰くらいまでの長さがあり、先端には天使のような白い羽が生えているものだ。所々に宝石が埋め込まれており、民家から漏れる光を反射してチカチカと光っている。

 少女の姿を誰かが目撃したならば、彼女が『魔法少女』であることには確実に気づいただろう。

 ここ数十年にわたり、魔法少女たちと魔物の戦いは日夜続いている。彼女らの姿は極めて個性的であり、一目で魔法少女と判断できる場合が多い。そして、魔法少女たちの勇姿はテレビや新聞、最近ではインターネットを通じて報じられて、一種のアイドルのように人々から応援されているのだった。


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魔法少女ウサギ 1-02

「確かに魔物の気配を感じたんだけど……」

 少女は全ての神経を集中させて、この町のどこかに潜んでいる魔物の姿を探す。

 すると、そこに一羽のカラスがやってきた。黒を基調とした少女とは対照的になぜか羽が真っ白で、これはこれで個性的だと言える。

 カラスは少女の肩に留まって、当然のように人間の言葉で話し出した。

「昼間に暴れる魔物は目立ちたがりだが、一方で夜に現れる魔物は狡猾だ……。存在を察知されないように、気配遮断の結界を敷いているのかもしれない」

 少女が魔法少女であるならば、人語を操るカラスは彼女の使い魔だった。

「……ウサギ、君の魔力はさほど強くない。結界から漏れている程度の気配では、察知できない可能性が高い。たとえ見つからなかったとしても、あまり気を――」

「――見つけた!」

 魔法少女――ウサギの表情がパッと明るくなる。

 彼女は民家の屋根から、隣の屋根に飛び移った。

 跳躍の高さは彼女の背丈を優に超えている。スピードに乗ってくると、まるで階段を勢いよく駆け上がるように、民家を一軒飛ばしにするようになった。

 白いカラスは魔法少女ウサギの肩から降りて、バサバサと自分の翼で彼女を追う。

「流石だな、ウサギ」

 壮年男性のような渋い声で、白いカラスは自らの主人を褒め称える。

 ウサギはとても楽しげに、年齢相応の幼い笑みをこぼした。

「カーくんが練習に付き合ってくれたおかげだよ」

「そこはウサギの努力が実ったのさ――というのはともかく、俺にはオスカーという名前がある。カーくんという可愛らしいあだ名で呼ばれるのは、どうにもムズムズすると、一年前から言っている気が……」

 白いカラスのオスカーが目くじらを立てる。だが、ウサギの笑顔にすっかり負けてしまったようで「まぁ、いいか……」とため息をついた。

「空を飛べたら楽なのになぁー」

 身軽に屋根をジャンプで伝いながら、ウサギが横を飛ぶオスカーを見て呟く。

 オスカーは首を横に振った。

「君は魔法が一つしか使えないんだ。我慢しろ」

「いいなー、オスカーは空が飛べるから。いいなー」

 他愛ない会話を繰り返す間に、二人は目的地に接近しつつあった。

「あそこの三角公園に魔物の気配と……あっ!」

 素っ頓狂な声を上げるウサギ。

 オスカーがびっくりして、その拍子に白い羽が一枚抜け飛んだ。

「どうした?」

「魔法少女の気配もする。たぶん、キツネちゃんじゃないかな……」

 お互いの活動範囲が重ならないように、魔法少女は日頃から心がけるようにしている。というのも、魔法少女になれる少女はごく少数であり、その限られた人数で町の――世界の平和を守らなければいけないからだ。人員に余裕はない。

 とはいえ、魔法少女は全て例外なく少女――住む場所というのは魔法の力でどうにか出来ない場合がある(たとえばウサギとキツネのように)。

 ウサギは勢いよく、民家の屋根から三角公園の中心に向かって跳躍する。

 公園を囲む街路樹を飛び越えた頃、一人と一匹の目に魔物の姿が映り込んだ。

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魔法少女ウサギ 1-03

「きょ、きょうりゅうだっ!」

 その巨体はウサギにも見覚えがある。

恐竜の中では最も有名であるだろう……ティラノサウルスだった。

 だが、その色合いはあまりにも禍々しい。全身がコールタールをかぶったように真っ黒で、なおかつ血のようにぬらりとした赤で文様が描かれている。見ているだけで目の錯覚を起こしてしまいそうな、頭の痛くなるような気味の悪い柄だった。

 禍々しいティラノサウルスは、ジャングルジムに足をかけて唸り声を上げている。

 その咆哮はウサギの体をビリビリとしびれさせるほどだったが、気配遮断の結界には防音機能まで付いているため、周囲の民家にまで届くことはなかった。

「さっさとジュラシックパークへ戻ってもらった方が良さそうだ……」

「そうだね、カーくん」

 砂場に着地したウサギは、滑り台に留まったオスカーと顔を見合わせる。

 二人は公園の敷地内をぐるりと見回した。魔物が出没するのは、たいていが人間を襲うときなのだ。だから、公園のどこかに狙われた人間がいるはずなのである。

 そして、ティラノサウルスが踏みつけているジャングルジムに目を向けたときだった。暗がりになって見えにくかったが、ゆがんだジャングルジムの下に小さな女の子の姿を見つける。おそらくは塾の帰りなのだろう……ランドセルとは違う手提げ鞄を持っていた。うずくまっており、逃げるに逃げられない様子だ。

「――待ちなさい、ウサギ!」

 声を掛けられて振り返る。

 公園と外を区切る垣根の中から、また新たな少女が這い出てきた。

 年齢はウサギと同じ程度。エナメル線のように光沢のある茶髪を、いわゆるツインテールの形に結んでいる。キッとした目はいかにも気が強そうで、何かを言いたげに開かれた口からは、とがった八重歯が見えていた。

 彼女の衣装もウサギに負けず劣らず個性的だ。

 頭上に輝く金色のティアラ。背中まで大きく開いている真っ赤なドレスに、同じ色で合わせた手袋。スカートは短めで、網タイツをガーターベルトで吊っているのがよく見える。足下は錐のように鋭いピンヒールだ。

 手にはウサギと同じように、いわゆる魔法のステッキが握られていた。ただ、形状はステッキよりもハンマーに近いようで……黄金に輝いているからか、とても重そうな印象を受ける。

 二人目の魔法少女は、獣のように鋭い視線をウサギに向けた。

「こいつは私が倒すわ! だから、あなたは引っ込んでいて!」

 だが、彼女には立ち上がる力すら残されていない。ステッキを支えにして体を持ち上げようとする姿は、猟銃で撃たれた子鹿のように痛々しかった。

 オスカーが第二の魔法少女の元に舞い降りる。

「やめるんだ、キツネ嬢。このままでは変身が解けてしまう可能性がある。俺とウサギは、君と素顔を知り合っている関係だが……万が一、一般人にでも見られたら大変だ。魔法少女の顔バレが大変なのは、血筋である君の方がよく――」

「うるさい、ほっといてよ、もうっ!」

 第二の魔法少女――キツネが魔法のステッキを振り回して、そばに寄っていたオスカーを追い払う。

 オスカーは目を細めて、周囲をキョロキョロと見回した。

「サンゲツは……君の使い魔はどこへ行った?」

 キツネの使い魔がサンゲツという名前であることは、もちろんウサギも知っている。

 サンゲツはカマイタチの形を取っている使い魔だ。基本的にカマイタチというのは三匹一組となって行動するのだが、残りの二匹はキツネの姉たち(二人とも魔法少女)の元で活動している。加えて、単体でも並の使い魔に引けを取らない強さを持つほど優秀だ。

 主人に忠実で頼れる使い魔が、果たしてどこで油を売っているのか……。

 オスカーの問いかけに対して、キツネは垣根の奥を指さした。

「裏でダウンしているわ。私の身代わりになって、踏んづけられたからね」

「そこまで追い込まれるよりも先に、我々を呼べば良かったではないか……」
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魔法少女ウサギ 1-04

 ジャングルジムから足を下ろして、ティラノサウルスがついに鼻先をウサギたちに向ける。

 ウサギは魔法のステッキを構えると、その先端に精一杯の魔力を注ぎ始めた。

 力を入れる場所は右胸――魔法少女の間では『セカンドハート』と呼ばれている架空の部位だ。格闘家が丹田に力を入れるのと感覚は似ている。体の中の一点に力を込めると、要領よく魔力を生み出せるのだ。

 赤黒いティラノサウルスは、全力疾走でウサギに向かって突っ込んでくる。大きく開けられた口の中は、まるでブラックホールのように漆黒が渦を巻いている。噛み付かれたら最後、死体が残らないどころか、存在自体を消滅させられてしまうだろう。

 蹴り出す一歩一歩が、公園の地面に巨大なクレーターを生み出す。

 自分の魔力が心許ないことをウサギは知っている。小細工をしている暇はない。だからこそ、全身全霊を込めた一撃をたたき込むしかないのだ。

 ウサギは跳び上がり、魔力の充填された魔法のステッキを振り下ろす。

 そして、ステッキの先端がティラノサウルスの鼻先を鋭く叩く。

 刹那、ストロボを焚いたような白い輝きが広がって、魔物――ティラノサウルスの全身を包み込んだ。お世辞にも得意とは言えないが、ウサギが使える魔法――物理衝撃の魔法がティラノサウルスに命中したのだ。

 激しい雄叫びを上げながらティラノサウルスの体は崩れ去っていく。魔物は敗れたら跡形もなく消え去る。その体はチリになり、灰になり、透明になり、最後は空気になってしまう。

 ウサギがすたりと着地したときには、すでに巨大な魔物の姿はなくなっていた。これで気配遮断の結界も消えたはずである。明日にはゆがんだジャングルジムや、公園に残された巨大な足跡が発見されるだろう。

 彼女は満面の笑みを、ジャングルジムの下に隠れている少女へ向ける。

「もう大丈夫だよー。悪い魔物はやっつけたからねー」

 手を振って、ぴょんぴょんと跳びはねてみせる。

 すると、ようやく塾帰りの少女も恐怖から解放されたようで、ジャングルジムの下から抜け出てきた。だが、手提げ鞄で自分の顔を隠したかと思うと、そのまま公園の外に猛ダッシュで逃げてしまう。

「恥ずかしがり屋さんだねー」

 ニマニマとしながら小学生の後ろ姿を見送る。

 こうして人助けをしているときが、ウサギは誇張なく何よりも幸せなのだ。自分が誰かの役に立っている。ここに生きている意味がある。大きな充実感に包まれて、寂しさや、悲しみや、不安がフッとどこかに消え去っていく。人々が仕事や趣味に打ち込むように、ウサギは魔法少女であることに熱心なのだった。

 オスカーがバサバサと彼女の肩に留まる。

「どうにか、今回も撃退できたな。魔法少女の血筋でもないのに――魔力の絶対量に恵まれているわけでもないのに、本当にウサギは良くやってくれる。ただ、キツネが途中まで弱らせてくれていなければ、今回は倒せなかったな……」

「そうだね……あれ? キツネちゃんは?」

 気がつくと、先ほどまでの場所にキツネの姿はない。

 かと思ったら、彼女も襲われていた小学生のように、そそくさと公園から出て行こうとしていた。大きく開いたドレスのせいで、砂埃で汚れてしまった背中がよく見えてしまう。酷い怪我はないようだが、それでも心を揺さぶられるものはあった。

 キツネの後を使い魔のサンゲツが追う。

 見た目は胴体の長いフェレットといった様子で、両腕には大きな鎌が角のように生えている。魔物に踏みつけられたダメージが酷いようで、使い魔だというのにフワフワと空を飛ぶことも出来ないようだ。

「キツネちゃーん。また明日、学校でねーっ!」

 ウサギはぴょんぴょんと跳ねながら、第二の魔法少女に向かって手を振る。けれども、キツネに返事をしてもらえなくて、彼女はシュンとして人差し指をくわえた。

「……うぅ、キツネちゃんの意地っ張り!」

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