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第三章 自作自演の芝居

 幸せな人生とは、どのような人生を言うのでしょうか。
 あなたは、今、幸せですか。あなたの幸福感を語ってみてください。
 はい、私には、由緒正しき家柄があります。
 はい、私には、賢い頭があります。
 はい、私には、健康な身体《からだ》があります。
 はい、私には、美貌《びぼう》があります。
 はい、私には、お金があります。
 はい、私には、かけがえのない家族がいます。
 はい、私には、楽しい仲間達がいます。
 はい、私には、やりがいのある仕事があります。
 はい、私には、自分を打ち込めるものがあります。
 はい、私には、特別に何もありませんが、日々感謝して暮らしています。生かされている喜びを感じています。
 まだまだ他にもあるかもしれませんが、大体、幸せの基準は、このようなところでしょうか。重複しないと満足感が得られない人もあれば、ひとつで充分に幸せだと思う人もいます。
 人は、みんな幸せを求めています。
 幸せになりたいという願望があります。
 そして、幸せの基準は、人それぞれにあるというのが一般的ですが、本当の幸せを知っている人は、ほとんどいないというのが現実だと、私は思っています。
 みんな、幸せになりたくて生まれてきます。しかし、幸せになれなくて死んでいくのです。
 幸せになりたいのに、幸せになれなかった……。
 幸せになるにはどうすればいいのか……。
 何があれば、幸せになれるのか……。
 心の疑問に答えるべく、人は、それぞれの条件に見合った環境を選んできます。
 自分の設定通り、幸せの条件を選んできます。
 また、あるいは、あえてその条件を外して、環境を設定してくるかもしれません。やはり、そうではなかったことを確認するために……。
 とにかく、自分の設定した中で、自分自身が演じていくわけです。人はみんな自分の中の思いを、自分の肉を通して表面に出してくるのです。
 例えば、人生を芝居に見立ててはどうでしょうか。
 人は、自分に芝居を書きます。そして、その芝居を演じているのは自分であり、その芝居を観ているのも自分です。
 いわゆる自作自演のドラマを、自分自身が鑑賞しているというふうに、自分の今を眺めてみませんか。
 自作自演の芝居のテーマは何か。
 それは、幸せと喜びです。
 いつも、そうなのです。幸せと喜びが永遠のテーマです。
 そのテーマで、舞台設定を変えていくのは、何度設定を変えても、そのテーマをクリアできずにきたからです。
いつも観客から拍手喝さいが受けられない役者は、何度も何度も厳しい稽古《けいこ》を重ねて、再び舞台に立つのです。
 芝居は、ある時は大金持ちに生まれついたのに、最後は没落してしまうとか、ある時は美貌《びぼう》を振りまいて、蝶よ花よだったけれど、結局は、その美貌《びぼう》で身を滅ぼしていくとか、そして、ある時は……、というふうに、幾パターンもあり、その都度、涙と笑いの悲喜こもごも、盛りだくさんです。
 そのように、今の自分の人生も、その中のひとつのパターンだと思えないでしょうか。
 そして、芝居だから、楽しみながら続けていけばいいと思いませんか。一生懸命に、楽しみながら、千秋楽を迎えていけばいいのです。
 ただし、どんなに一生懸命に演じ、また、楽しみながら演じていても、その芝居を通して伝える真のメッセージに行き着くまでは、残念ながら、カーテンコールはありません。
 どのような舞台も、自分に対してのメッセージを託して、その幕が上がります。もちろん、幕が下《お》りるまで、自分が主役です。観客に対してメッセージを送り続けられる役者は幸せです。観客は、下手《へた》でも、一生懸命演じている役者の姿に、何とかエールを送ろうとします。
 しかし、なかなかそのエールは役者に届きません。
 役者は、いつも自分の役柄にすっぽりとはまってしまって、脇目も振らずに、その役を演じ切ろうとします。
 「あなたは、今度はこの役で、私からのメッセージを受けてください」と念押しされても、役が決まって、舞台背景が決まって、衣装を身に纏《まと》ってしまえば、その芝居の中に溶け込んでしまうのです。
 本当は、役者には、芝居を通して伝えたかったメッセージがありました。そして、観客も、役者から本当に聞きたかったメッセージがありました。
 そのメッセージとは、芝居のテーマでもあります。
 伝えたかったもの、そして、聞きたかったものは、互いに共通するところなのだと思います。
 人生を芝居に例えてみましたが、今もまた、世界中で、そのテーマをクリアすることの難しさを感じながら、たくさんの芝居の幕が下《お》りていくのだと思います。
 私は、このように、幸せな人生とは、自分に託してきたメッセージを、自分自身が、正しく受け止めていくことができる人生を言うのだと思います。
 自分に託してきたメッセージとは、人それぞれに違うというものではないと思います。そのメッセージはみんな同じはずなのです。
 まず、そのメッセージに出会うことが難行苦行です。
 次に、ようやく出会っても、それを正しく受け止められるかどうかの難関が待っているのです。
 しかし、このように難行苦行の道のりも、今は過去形になりました。
 一人芝居を演じ続けて、長い、長い時間が経ちましたが、幕が上がり、幕が下《お》り、あと何度それが繰り返されるのかというところまで、ようやく漕ぎ着けたからです。
 いいえ、カーテンコールはもう直前に迫っていることを、私は確認させていただいています。
 「役者が役者でなかったことを知った。私は役を演じているに過ぎなかった。」
 そのことを知った人の人生は、役にばかりに思いが傾くことはもうないでしょう。必要以上に役作りに熱心になるということはないと思います。しっかりとメッセージを受け取りながら、役を淡々と演じていくだけだと思います。
 このように、自分にいただいた役を通して、自分というものを知っていく喜びに出会うことが、喜び幸せの人生だと、私は思っています。
 そして、一人芝居を演じてきた役者が、ようやく唯一の観客と手に手を取ることができるのは、役者冥利《やくしゃみょうり》に尽きると思います。
 この役をもらって登場してきてよかった。ありがとう、ありがとうとなっていくと思います。
 それは「役者人生、万歳」と、思わず叫んでしまうほどの喜びではないでしょうか。
 そこで、
 自作自演の芝居を通して、自分が自分に送るメッセージを正しく受け取ることが、喜び、そして、幸せの人生の登竜門
 
と位置づけましょう。
 その登竜門を通過するためのステップを、これからご紹介していきたいと思います。
 正しい手順を踏んでいけば、人生とは、自作自演の芝居だということも分かるし、それを通して、本当の人生、本当の喜び、本当の幸せに辿《たど》り着くと、私は確信しています。
 「本当のあなた」が、道案内をしてくれるのです。

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