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飼い主の方へ

2-1.

庭に階段状の棚があるからといって、盆栽鉢がその棚にいくつも並べられでもしない限り、棚の所有者の趣味が盆栽であるとは言えない。そのような安直な条件反射的判断を下すのは犬ぐらいのものである。「階段状の棚=盆栽」という等式が成り立たないことを証明するためには、棚の所有者である中年男性が、自らの人生の中で盆栽について深く考えたことなど一度もない、という事実を確認するだけでよい。実際、棚の所有者であり製作者でもある主飼犬助(ヌシガイ イヌスケ/43歳)は盆栽をつくるほど芸術的な感性を持ち合わせていなかった。彼の趣味はボルダリングだったし、毎日手入れが必要な盆栽という行いは彼の雑な性格には全く向いていなかった。「企画力は凄いが、それをしっかりと育てる持続性はない」、それが彼の勤める会社上層部の彼への暗黙の評価だった。確かに彼はこの棚についても殆ど思いつきでつくり始め、何とか完成には漕ぎ着けたものの、触るとガタピシいうことから考えても、建て付けの悪さが明らかであり、会社の評価が正しく彼をとらえていることは間違いなかった。彼は休日にぼんやりTVを見ていた最中に突然閃きがあり、居ても立ってもいられなくなり、すぐに材料を集め、棚をつくり始めたはいいが、あっという間に飽きたのである。むしろ、棚が一応完成しているのは奇跡的なことだ。今、彼に「何故、自作の庭棚が必要だったのか」と聞いても全く答えることができないだろう。それほど彼は勢いで行動するタイプであり、目標にたどり着く前に目標を忘れてしまう性格であったのだ。

 

2-2.

INUMI(21)のブログ

 

■5月11日

こんばんーわ!

今日は久しぶりにお仕事でしたー

 

不倫モノ。

 

あたしって、こんな仕事してるから

絶対ほぼヒャクパー信じてもらえないと思うけど

不倫とかダメなんだよね。。。

 

まぢヤな気分だったから

ぜんぜん体動かなかった

 

いがいと純粋なあたし^_^

 

でもみんなにはビッチだと思われてんだろーなー

まあしかたないかぁぁ

 

今日は事務所のメイクさんとメチャ洋服かぶった~(;_;)

でも仕事だったから、すぐ服脱がされちゃったけどね(_;)

 

明日はイベントだからみんな来てね~!

http://dontokoi.com/ivent/20110512_inumi

 

 

疲れたから眠いぞー!

またあしたー

 

ラブリー♡

 

■6月4日

おはよー

 

今日の朝ごはんは

 

 

 

カツ丼(・∀・)

 

 

ガッツリ!

またフトる~泣

 

 

今朝はイイことありました!

ゴミ捨てに外に行ったら

隣の家のおじさんにマカロンの詰め合わせもらっちゃったぁ

ほんっとイイ人なんだよ~

 

その人、庭でパグ飼ってるんだ

いいなー

パグとかまぢ癒されるー

「ブル」って名前だって!

 

 

Nail気合いれてみましたー

キラキラ!

 

ラブリー♡

 

■7月31日

 

カレシとケンカした

 

もぅヤダ!

浮気ばっかり

 

ホント男とか

 

 

 

 

 

 

 

ば~か!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浮気するなって言ったら

「お前だっていつも男とヤってるじゃん」

とか言いやがって

仕事だっつーの!

 

 

あぁぁぁ ホントむかついてきたぁぁ

 

 

こんなとこに書いても

意味ないんだけど…

 

 

あたしのウチに入り浸って出てかないし

どこかに出ていくときは浮気する時だし

 

 

 

 

 

どうしたらいいのー >_<

 


 

 

もぅ、あぃっの顔 見ると

腹が立つぅぅぅ

 

 

こんなとき

みんなどうしてるの?

 

教えてよー  |;_;|/


飼い主の方へ

2-3.

水曜日は生ゴミの日だ。犬助は普段より早く目が覚めたのでいつも忘れがちなゴミ出しを実行することにした。彼は43歳だが独身の一人暮らしだからゴミ出しを忘れるとその週は部屋がとても生ゴミ臭くなってしまうのだった。いつもなら会社へ行くときに右手で鞄、左手にゴミ袋を持つという典型的なサラリーマンにありがちの光景そのままに、ゴミを捨ててから通勤するのだが、今日は早起きの高揚感からか、何故か目覚めた直後にゴミを出す気になっていた。ゴミ置き場は犬助の家と隣の家との間にある。彼はゴミ袋を持って玄関を出た。早朝だったが、夏の日差しは既に道路をかなり温めていて、ムッとする空気が彼を包んだ。彼がゴミ置き場へ行くと若い女の子が立ち尽くしている。犬助はそれが少し前に仕事でもらったマカロンの詰め合わせをあげた隣の家の女の子であることに気付いた。前に聞いたところによると、彼女も一人暮らしなのだという。そのとき、犬助はこんなに若い女の子が何故一軒家で一人暮らしをしているのかとても不思議に思ったのだった。その女の子が、ゴミ置き場でジッと立っている。何か異様な雰囲気を漂わせていた。犬助がおはようと声を掛けたが、女の子はしばらく無言で立ったままだった。顔がやつれており、明らかに泣いた跡がついていた。どうした、と犬助はもう一度声を掛けると、やっと女の子は犬助の方を振り向き、突然また泣き始めたのだった。早朝に泣いている女の子の扱いなど犬助は知る由もなかったので、どうしたらよいのか途方に暮れた。どうしたのと言っても泣いたままだったので、犬助はとりあえず自分の家に連れて行くことにした。女の子は泣きながらも犬助の導きのまま家に連れて行かれたのだった。犬助は自分の家の玄関に入る前になんとなく庭の方を眺めると飼い犬のブルの姿が見えないことに気付いたが、今はそれどころではないので、女の子を家のリビングに連れて行き、すぐに台所でアッサムティーを入れ、それを差し出したのだった。


奥付



名探偵 山犬鹿之助の犬探し


http://p.booklog.jp/book/31619


著者 : goseisyashin
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