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罪悪感

千円札が落ちている
夏目漱石の。
きょろきょろまわりを見渡して
それをポケットにしまって歩く
途中で募金の呼び掛けに足が止まる
ポケットにしまってた千円札を取り出して、
「夏目漱石なんです」
と言ってみる
「はぁ……」
と言われて、それを箱に入れる
「ありがとうございました!」
感謝されてもいいのだろうか






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バス停




どれだけ待っても来ないなら
もう行ってしまったんだ

いいえ、時間はゆっくりと
流れているだけなのよ



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カーネーション

カーネーションを一輪買う
水差しに入れて、仏壇に飾る

朝から置いてある、
お供え物の団子をパクリと口に運ぶ

まったく父さんはわかってない
母さんは甘いものが苦手なことを

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二度目の恋











「それどうするの」

金魚すくいでデメキンを掬った、その子に聞いた

「家で飼うけど」
「死んじゃうのに?」
「いまは生きてるよ」

浴衣のその子に、恋をした











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放課後の教室






放課後の教室で
君にキスをしようとして
泣かれた日

ごめん、と言った向こう側
窓の外に目をやれば
ホウキを足にはさんで
山を駆け下りる女の子

君はそれに笑ってしまって
そのあとそっと、キスをした

あの子は魔女かもしれないな









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