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ちいさな恋







風船に、手紙をつけて放ったら
すぐに手紙だけ、落ちてきた

空を飛んでた鳥たちが
くちばしで風船を突いたから

いっしょに飛ばした好きな子の、
手紙がぼくの足もとに

「見ちゃだめ」


好きな子の、瞳がそう言ってる気がして、
なにも言わずに返したさ

気になるけれど、気にしない




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悪いけれど





もしもゴキブリがりんりんと鳴いたって
もしもセミがホーホケキョと鳴いたって
たぶんそれを愛せない

悪いけれど、ぼくはそう

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雨上がり



雨上がりのあの匂い
ゲロゲロと音のする、あの景色

さっき自転車でその音を
よけきれずに踏んづけて

しまったかもしれない

雨上がりのあの匂い
手を合わせて、ごめんなさい

泣いてるような、空の匂い





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罪悪感

千円札が落ちている
夏目漱石の。
きょろきょろまわりを見渡して
それをポケットにしまって歩く
途中で募金の呼び掛けに足が止まる
ポケットにしまってた千円札を取り出して、
「夏目漱石なんです」
と言ってみる
「はぁ……」
と言われて、それを箱に入れる
「ありがとうございました!」
感謝されてもいいのだろうか






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バス停




どれだけ待っても来ないなら
もう行ってしまったんだ

いいえ、時間はゆっくりと
流れているだけなのよ




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