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連絡

 たまには連絡しろ。実家に帰るたび親父は言う。連絡。何を? お父さんはお兄ちゃんと飲みに行きたいんだよ。妹はそう言うが酒癖の悪い父親の姿を子供の頃から目にしてきた俺は乗り気になれない。また連絡しろ。帰ろうとする俺に今日も親父は言う。振り返ると小さな背。考えとくよ。

動物園

「どこ行きたい?」と訊かれて動物園と答えた。「雨なのに?」私は頷く。「いいよ。行こう」「いいの?」「だって行きたいんでしょ?」「うん。私の好きな爬虫類両生類館は雨とか関係ないから」「なるほど」彼は笑いながら言う。「夜行性動物舎も面白いしね」この人分かってるなぁ。

将来の夢

「皆の将来の夢は何かな?」子供達の手が一斉に挙がる。公務員公務員お嫁さん公務員お嫁さん。「いやに現実的だね。もっと大きな夢はないのかな。例えば、政治家とか」子供の一人が口を尖らせる。「だって政治家って呼び捨てにされたりバカ呼ばわりされたりでしょ。そんなの嫌だよ」

綺麗なもの

「素敵な絵。あっちゃんセンスあるね」「美的感覚は小さい頃からどれだけ綺麗なものを見てきたかで決まんだよ」「ふうん。でも美術とか興味ないでしょ」幼馴染の篤は私をじっと見つめる。「なによ」「綺麗なものはアートだけじゃねえよ」「は?」篤は再び読みかけの漫画に目を戻す。

ヴヴヴ

 床を擦る音で目が覚めた。ずるり。それはベッドの中に入ってくる。太腿に冷たい感触。やめてよ。ヴヴヴ。やめてったら。ヴヴヴヴ。たくあんは払いのけようとする私の手をかわし、股の間に濡れた身をこじ入れてくる。ねぇ、せめてシャワーを浴びてきて。ヴヴ。お願い。痒くなるから。

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