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仕事の純度

 仕事の純度というのは耳慣れない言葉かも知れません。例えばデザインの仕事で考えた時に、デザインの仕事の純度とは、「デザイン作業に注力できると」でしょうか。僕は多分違うのではないかという気がしています。
 高校の同級生が靴の修理屋をやっていまして、「靴を直す代わりに、畑で取れた大根をもらう」みたいな世界が仕事の本来的にあるべき姿だよね、という話をしたことがあります。物々交換です。
 会社というものの起源はイギリスの東インド会社だそうですが、産業革命以降、大量生産大量消費の社会構造が、企業組織を機能せしめるためにより高度な職能の分化を求めるようになりました。よく「歯車」と例えられますが、それは決して揶揄されるべきことではなく、社会構造に応じて合理化された、ある種、人類の進化における当然の帰結なのではないかと思います。
 一方で物々交換の時代に比べれば、仕事の構造というものも大分わかりにくくなってしまったように思います。そのこと自体を否定するつもりはありませんが、そういう世の中になってきたからこそ、仕事の純度を保つ努力、というのは必要になってくるのではありませんか。
 先に挙げたデザインにおける「仕事の純度」というのも、「自分がいかにデザイン作業に注力できるか」ではなく「自分が問題を解決して対価を得る」という構造がいかにシンプルであるか、ということではないかと思います。
 幸いなことに僕はそういう意味で非常にシンプルな構造で仕事をしていて、それは個人事業であるとか、直接取引であるとかいうところの、大きな利点の一つだと思っています。強みと言ってもいい。シンプルであるが故に、飽きないし、原体験を大事にできるし、忘れてしまってはいけないことを忘れなくて済む。
 仕事の純度というのは意識しないと薄まっていってしまうものだと思います。日々の業務に忙殺されていると、「仕事をすることが仕事」になってしまいかねません。組織にいる人であればこそ、むしろ、自分の仕事の純度ということを常に意識して仕事に取り組んだ方が、結果的にそれは長く続けられる仕事になっていくのではないでしょうか。

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