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 美緒は、袋から白い箱を取り出し、蓋をそっと開けた。箱の中には、ティラミス、レアチーズ、イチゴ、マロン、抹茶、のショートケーキ5個が並んでいた。ゆう子が甲高い歓喜の声を響かせた。「ワ~~、おいしそう。5つも買ってきたの」美緒が笑顔で応えた。「お母さん、お父さん、詩織ちゃんの分も。先輩、好きなの取って」ゆう子は大好きなレアチーズを取り出した」美緒はイチゴを手にした。残りは、フレッジに入れた。小さなスプーンを手にした美緒が尋ねた。「詩織ちゃん、何年生?」ゆう子は即座に返事した。「3年、来年受験」美緒は、うなずき返事した。「どこ、受験するの?」首をかしげたゆう子は、曖昧な返事をした。「はっきり聞いてないけど、Q大に行きたいみたい。3年の初めは、東京の大学に行きたいって言っていたけど、お母さんが反対したみたい」

 

 美緒は、口をモグモグさせイチゴを食べ終えると話を続けた。「へ~~。どうして?」首をかしげて返事した。「フクシマ原発に近づかないほうがいいって。ほら、関東は、放射能汚染が問題になってるじゃない。心臓病、白血病、が急増してるんだって。万が一のことがあったらいけないから、東京は、ダメって」美緒は小さくうなずいた。「なるほど。確かに。君子、危うきに近寄らず、ってことか。原発事故って、チョ~~、ヤバイよね。でも、詩織ちゃん、S高の秀才だし、どこでも合格だな」ゆう子は小さくうなずいて、返事した。「詩織は、お父さんの秀才遺伝子を受け継いだのよ。うらやまし~~」美緒が同情するように返事した。「ゆう子先輩も、頭いいじゃないですか。美緒は、どうなるんですか?パ~プリンのブ~~タン、ってことですか?」

 

 吹き出しそうになったゆう子だったが、ニコッと笑顔を作って、返事した。「美緒は、特別よ。なんというか、予知能力があるというか、霊感がるというか、不思議な能力があるじゃない。もしかして、宇宙人?」ドヤ顔になった美緒は、胸を張った。「ア~~、ついに見破られたか。私は、アンドロメダからやってきた、予言者ブ~~タンです。これからも、ヨロピクブ~~」ゆう子は、ワハハハ~とついに噴き出してしまった。ケーキを食べ終えた二人は、二階のゆう子の部屋に向かった。ベッド横の白い椅子に腰掛けた美緒は、尋ねた。「先輩、相談って?」ゆう子は小さな声で返事した。「何というか、友達というか、彼氏というか、イスラエル留学生の話。聞いてくれる?」


 

 留学生と聞いて、美緒の目が輝いた。美緒は、白人のイケメンが好きだった。

ゆう子は、どういう風に話そうかとしばらく考えていたが、いったい何を相談したいのかもわからなくなっていた。とにかく不安を話すことにした。「何といえばいいのかな~、今、イスラエル留学生の友達がいるの。イサクと言うんだけど。イサクとは、今のところ、単なる話し相手なんだけど、イサクともっと付き合っていいものか?ちょっと悩んでいるの。どう思う?」いったいどういうことを悩んでいるのかピンとこなかったが、おそらく、外人とセックスしてもいいのか?という悩みだと判断した。「要は、友達じゃなく、彼氏にしたいってこと?」ズバリ、美緒の言う通りだった。「そう。イサクって、イスラエルの留学生じゃない。外人と付き合ったことないし、よくわからないのよ。付き合ってもいいものか、どうか?」

 

 中年男性のことだったら、ドヤ顔で返事できたが、外人とは一度も付き合ったことがなかった美緒は、なんと答えていいかわからなかった。「外人ね~、美緒もつきあったことないし~。わかりまシェ~ン。先輩、思い切って、付き合ってみたら?」美緒の返事は、こんなものだろうとは、予想していた。「そうよね。イスラエル人と付き合ったことがある人って、身近にいないし。どうしよう~?」美緒が質問した。「そのイスラエル留学生って、日本語、話せるの?」ゆう子はうなずいた。「それが、びっくりするぐらい、上手。それに、チョ~イケメンだし。やさしくて、話も愉快だし、博学だし、さすが、選抜された国費留学生って感じ」

 

 美緒は巨乳をグイッと押し上げ腕組みをすると大きくうなずいた。「わかりました。お答えします。付き合いなさい。きっと、うまくいくでしょう」マジな顔つきになり美緒はひらめきを話した。美緒の自信にあふれた回答をもらったものの、それでも、不安が残った。「別に、悪い人だとは思わないんだけど、ア~~どうしよう」何を悩んでいるかは、察しがついていた。美緒は、はっきりといってやることにした。「先輩、セックスでしょ。いいじゃないですか。日本人でも、イスラエル人でも、セックスは同じ。気にしなくてもいいんじゃないですか。でも、避妊は、忘れないように」ズバリ核心を突かれ、ゆう子は目を丸くした。「でも、避妊といわれても、どうやればいいか?まだ経験ないし、ア~~」

 


 確かに、初めてだと、避妊は難しい。避妊は、ズバリ、相手に言わなければ失敗する。でも、いざ、その時になって、勇気を出して、口にできるか?「先輩は、まだだもんな~。だから、もっと早くに、やってればよかったんです。だったら、度胸もついていたのに。いまさら、こんなことを言っても、始まらないか」美緒もこればかりは、首をひねった。美緒は、許してもいいと思ったら、相手にセックスOKの時期をはっきりと伝えていた。だから、妊娠したことはなかった。「それじゃ、先輩から、デートの日を指定してください。それも、何日から何日までと。プレイボーイだったら、きっと察しが付くはずです。それが、いいです」ゆう子はうなずいた。イサクとヤコブがプレイボーイであることは、間違いないと思った。基礎体温から、妊娠の期間をわりだすことにした。「わかった。日本人も、外人も、同じよね。美緒、ありがとう」

 

 大きな目をパチクリさせた美緒は、笑顔で大きくうなずいた。実のところ、美緒は、イケメンのイスラエル人とセックスしたかった。誰か紹介して欲しくなった。「先輩、そのイスラエル留学生に友達いるでしょ。友達を紹介してくれませんか?美緒も、白人と付き合ってみたいな~~。お願い、先輩」まさか、美緒がこんなことを言い出すとは夢にも思っていなかった。イサクとこれからどうなるかわからなかったが、相談に乗ってくれた恩返しにだれか紹介しなければ悪いような気になった。だれかといっても、思い当たるのは、ヤコブしかいなかった。でも、ヤコブは、美緒のようなタイプを好むかどうか?巨乳だけど、チビデブでカワイ~~ってほどでもない。でも、ヤコブが決めることだし、紹介だけはしてみることにした。「え、友達?いることには、いるけど。ヤコブっていうんだけど、医学部の学生。一度会ってみる?」

 

 美緒は、医学部の学生と聞いてワクワクしてきた。医科大学看護学科の学生だといえば、付き合ってくれそうな気になってしまった。「ぜひ会ってみたい。紹介して。いつ紹介してくれる?美緒は、いつでもいいんだから」とりあえず、イサクに話してみることにした。「わかった。イサクに聞いてみる。ヤコブがOKだったら、連絡する」美緒は、ジャンプして歓声をあげた。「やった~。先輩、ありがとう」美緒の喜びが理解できなかった。そんなに、白人がいいのだろうか?黄色人種は、白人にあこがれるのだろうか?ゆう子は、別に、白人だから付き合いたいとは思わなかった。イサクと付き合うのは、白人だからというのではなく、やさしさと聡明さにひかれたからだった。

 

 


 確かに、アジア人は白人と簡単にセックスする、というネット記事を目にしたことがあった。美緒も、その部類の軽い女子なのだろうか?白人とセックスするのが、自慢になるのか?名誉にでもなるのか?ハクがつくというのか?有頂天の美緒に尋ねた。「え~~、白人がそんなにいいの?日本人のほうがいいと思うけど」意外なことを言う女子だと思ったのか、美緒は眉間にしわを寄せ答えた。「イスラエル人って、やさしくて、上手なのよ。記事で読んだだけ、なんだけど。なんだか、あこがれちゃうのよね~~甘いマスクに」美緒の頭には、セックスのことしかないように思えた。

 

 ゆう子は、嫌味を言ってやった。「美緒は、おじさん好みだったんじゃなかったの?今度は、白人。まったく、節操というものがないんだから」顔を引きつらせた美緒は、反撃した。「節操がないって、どういうこと?セックス上手が好みって、言ってるだけじゃない。若いのは、やさしさも、ムードも、全くないんだから。その点、おじさんはいいのよね。イスラエル人の甘いセックスも味わいたいな~~、シンデレラになれるかも~」話を打ち切ろうと思ったが、ガツンとショックを与えることにした。「噂ってのは、嘘が多いっていうから、ガッカリするかもね。見掛け倒しかも」急に、マジな顔つきになった美緒が、言い放った。「だから、自分の体で確かめたいの」

 

 ゆう子は、言ってる意味がさっぱり分からなかった。イスラエル人がセックス上手かどうか、確認して、どうなるというのか?ヤコブのセックスが、美緒が思っているほど上手でなかったら、だれに、何と言うつもりなのだろうか?”あんたは、セックス評論家?セックス体験記でも書くつもり?イスラエル人の次は、フランス人とでもセックスする気?”と言ってやりたかったが、アホらしくなった。ゆう子は、美緒がモテるのは巨乳だからと思っていた。「美緒、恋愛というのは、セックスだけじゃないと思うけど」美緒は、目を丸くした。「いつ、セックスだけって言った。セックス上手が、好きだって、言ってるだけよ。先輩は、一度も経験がないから、わからないだけ。経験すれば、わかるって」

 


 

 セックスのことを言われると、今までの恋愛は何だったのだろうと思い始めた。セックスできなかった勇樹への片想いは、いったい、なんだったのか?無駄な時間を過ごしたに過ぎないというのか?イサクに対して好感を持っているが、これは恋愛感情といえるのか?イサクとセックスすれば、それは、恋愛なのか?ゆう子には、納得がいかなかった。イラッと来たゆう子は、顔をしかめ、頭をガシャガシャガシャとかきむしった。シャワーを浴びて、頭をスッキリさせることにした。「久しぶりに、シャワー、浴びようか?」美緒は、笑顔で答えた。「来るまでに、汗びっしょり。シャワー浴びた~~い」二人は、1階のバスルームに向かった。

 


この本の内容は以上です。


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