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 今からでも、モサドを断るべきではないのか?今だったら、間に合うに違いない。俺が断るといえば、先輩も断るだろうか?でも、今の日本では、若者の犬死は目に見えている。犬死するのであれば、モサドになって、犬死したほうが、まだ、ましのように思える。CIAKGBAI6、彼らは、モサドの計画を知ったら、どう、対応してくるのか?モサドを攻撃してくるのか?俺ら、バカは、捨て駒に使われるだろう。覚悟はしている。先輩も同じに違いない。後には、引けない。ヤマト・ヘブル国家のために、やるしかない。

 

 ふいにパンチを食らわすような着メロが、鼓膜に飛び込んできた。それは、峰岸からのラブコールだった。三島は左横に置いていたスマホを手に取ると返事した。「はい」即座に、峰岸の甲高い声が伝わってきた。「今、何してる?次のデート、どこ行く?」峰岸は、自分のことしか考えていないように思えて、少しムカついたが、返事した。「デートか~?盆前の連休はダメだけど、峰岸が行きたいところがったら、付き合うけど」即、返事が返ってきた。「うれしそうじゃないみたい。私以外にいるってことはないわよね?信じてはいるけど」全く、嫌味なことを言うヤツだと思ったが、軽く返事した。「何度も言うけど、峰岸以外は、だれもつきあっていない。時々声をかけられるのは、俺のファンだといったじゃないか。いい加減にしてくれ」

 

 ちょっと安心した峰岸は、予定を伝えた。「そいじゃ~、七ツ釜に行こう。三島は、行ったことある?」三島は、まだ行ったことがなかった。「いや、どこにあるんだ、七ツ釜って?遠いのか?」笑顔を作った峰岸は返事した。「佐賀。ちょっと遠いけど、日帰りできる距離だから。佐賀方面には、新鮮な魚介類のおいしいレストランがたくさんある。そこで食事しよう。そいじゃ~、18日の日曜日はどう?何時に迎えに行こうか?」早めに出立したほうがいいと思い、いつもより早めにの時間を伝えた。「佐賀だろ~、それじゃ、8時には出発したほうがいいような」即座に、弾んだ声の返事が返ってきた。「OK.そいじゃ、18日の8時。待ってて」峰岸は、チョ~極安の中古の軽自動車が欲しいとリノにお願いしたところ、リノは、峰岸の事情を安田に話した。ちょっと男気を出した安田は、試乗車に使っていたスズキ・ラパンをただ同然で峰岸に譲った。ピンクのラパンを手に入れた峰岸は、浮気防止も兼ねて、度々、愛車でデートに誘っていた。


              決断

 

 810日(土)ハットの日。ゆう子は久しぶりに美緒に会えるのを楽しみにしていた。校長にイスラエル留学生のことを話したところ、彼らはモサドの可能性があるといわれ、できれば、もっと、詳しい情報をとるように、と言われていた。イサクともっと深く付き合えば、彼らの素性や仲間たちについての情報を手に入れることができる。でも、セックスしてしまえば、彼女として付き合うことになる。ゆう子の心に不安が渦巻いた。”白人イスラエル留学生を嫌っている安田や鳥羽の反感を買うのではないか?また、本当にイサクを彼氏にして、後悔しないか?勇樹のことを忘れることができるのか?万が一、妊娠してしまったら?”そんなことを考えていると頭がパニクり、一人で悩んでいてもらちがあかないと、美緒のアドバイスをもらうことにしたのだ。

 

 ミッキーの壁時計に目をやると午前10時になるところだった。美緒は、若干、時間にルーズだったが、もうそろそろやってくるに違いないと、ゆう子は1階に降りることにした。キッチンの椅子に腰かけるや否や、ピンポン・ピンポン・ピンポンと聞きなれたインターホーンが鳴った。美緒は、なぜか、せっかちな押し方をするのだった。「は~~い」とドアに向かって大きな声で返事すると、ゆう子は、玄関にかけていった。ドアが勢い良く開くと満面の笑みを浮かべた美緒の顔が現れた。「センパ~~イ、オミ~ヤ~~~」美緒は、CAKE HOUSE Tomitaとデザインされたグリーンの袋を手に提げていた。

 

 ゆう子は、それが何かすぐにわかった。「気が利くじゃない。上がって」美緒はスリッパをはくとゆう子のあとについてキッチンに向かった。美緒は、テーブルの上にそっと袋を置いた。ゆう子は、食器棚からグラス2個、お皿2枚、スプーン2つ取り出し、テーブルに並べた。そして、フレッジからペットボトルジュースを手にすると席についた。美緒も腰掛けると尋ねた。「お母さんと詩織ちゃんは?」ゆう子は即座に返事した。「お母さんは、朝早くに、出ていった。詩織も、予備校で、夏期講習。パパは、昨日の夜から、大分に旅行」


 

 美緒は、袋から白い箱を取り出し、蓋をそっと開けた。箱の中には、ティラミス、レアチーズ、イチゴ、マロン、抹茶、のショートケーキ5個が並んでいた。ゆう子が甲高い歓喜の声を響かせた。「ワ~~、おいしそう。5つも買ってきたの」美緒が笑顔で応えた。「お母さん、お父さん、詩織ちゃんの分も。先輩、好きなの取って」ゆう子は大好きなレアチーズを取り出した」美緒はイチゴを手にした。残りは、フレッジに入れた。小さなスプーンを手にした美緒が尋ねた。「詩織ちゃん、何年生?」ゆう子は即座に返事した。「3年、来年受験」美緒は、うなずき返事した。「どこ、受験するの?」首をかしげたゆう子は、曖昧な返事をした。「はっきり聞いてないけど、Q大に行きたいみたい。3年の初めは、東京の大学に行きたいって言っていたけど、お母さんが反対したみたい」

 

 美緒は、口をモグモグさせイチゴを食べ終えると話を続けた。「へ~~。どうして?」首をかしげて返事した。「フクシマ原発に近づかないほうがいいって。ほら、関東は、放射能汚染が問題になってるじゃない。心臓病、白血病、が急増してるんだって。万が一のことがあったらいけないから、東京は、ダメって」美緒は小さくうなずいた。「なるほど。確かに。君子、危うきに近寄らず、ってことか。原発事故って、チョ~~、ヤバイよね。でも、詩織ちゃん、S高の秀才だし、どこでも合格だな」ゆう子は小さくうなずいて、返事した。「詩織は、お父さんの秀才遺伝子を受け継いだのよ。うらやまし~~」美緒が同情するように返事した。「ゆう子先輩も、頭いいじゃないですか。美緒は、どうなるんですか?パ~プリンのブ~~タン、ってことですか?」

 

 吹き出しそうになったゆう子だったが、ニコッと笑顔を作って、返事した。「美緒は、特別よ。なんというか、予知能力があるというか、霊感がるというか、不思議な能力があるじゃない。もしかして、宇宙人?」ドヤ顔になった美緒は、胸を張った。「ア~~、ついに見破られたか。私は、アンドロメダからやってきた、予言者ブ~~タンです。これからも、ヨロピクブ~~」ゆう子は、ワハハハ~とついに噴き出してしまった。ケーキを食べ終えた二人は、二階のゆう子の部屋に向かった。ベッド横の白い椅子に腰掛けた美緒は、尋ねた。「先輩、相談って?」ゆう子は小さな声で返事した。「何というか、友達というか、彼氏というか、イスラエル留学生の話。聞いてくれる?」


 

 留学生と聞いて、美緒の目が輝いた。美緒は、白人のイケメンが好きだった。

ゆう子は、どういう風に話そうかとしばらく考えていたが、いったい何を相談したいのかもわからなくなっていた。とにかく不安を話すことにした。「何といえばいいのかな~、今、イスラエル留学生の友達がいるの。イサクと言うんだけど。イサクとは、今のところ、単なる話し相手なんだけど、イサクともっと付き合っていいものか?ちょっと悩んでいるの。どう思う?」いったいどういうことを悩んでいるのかピンとこなかったが、おそらく、外人とセックスしてもいいのか?という悩みだと判断した。「要は、友達じゃなく、彼氏にしたいってこと?」ズバリ、美緒の言う通りだった。「そう。イサクって、イスラエルの留学生じゃない。外人と付き合ったことないし、よくわからないのよ。付き合ってもいいものか、どうか?」

 

 中年男性のことだったら、ドヤ顔で返事できたが、外人とは一度も付き合ったことがなかった美緒は、なんと答えていいかわからなかった。「外人ね~、美緒もつきあったことないし~。わかりまシェ~ン。先輩、思い切って、付き合ってみたら?」美緒の返事は、こんなものだろうとは、予想していた。「そうよね。イスラエル人と付き合ったことがある人って、身近にいないし。どうしよう~?」美緒が質問した。「そのイスラエル留学生って、日本語、話せるの?」ゆう子はうなずいた。「それが、びっくりするぐらい、上手。それに、チョ~イケメンだし。やさしくて、話も愉快だし、博学だし、さすが、選抜された国費留学生って感じ」

 

 美緒は巨乳をグイッと押し上げ腕組みをすると大きくうなずいた。「わかりました。お答えします。付き合いなさい。きっと、うまくいくでしょう」マジな顔つきになり美緒はひらめきを話した。美緒の自信にあふれた回答をもらったものの、それでも、不安が残った。「別に、悪い人だとは思わないんだけど、ア~~どうしよう」何を悩んでいるかは、察しがついていた。美緒は、はっきりといってやることにした。「先輩、セックスでしょ。いいじゃないですか。日本人でも、イスラエル人でも、セックスは同じ。気にしなくてもいいんじゃないですか。でも、避妊は、忘れないように」ズバリ核心を突かれ、ゆう子は目を丸くした。「でも、避妊といわれても、どうやればいいか?まだ経験ないし、ア~~」

 


 確かに、初めてだと、避妊は難しい。避妊は、ズバリ、相手に言わなければ失敗する。でも、いざ、その時になって、勇気を出して、口にできるか?「先輩は、まだだもんな~。だから、もっと早くに、やってればよかったんです。だったら、度胸もついていたのに。いまさら、こんなことを言っても、始まらないか」美緒もこればかりは、首をひねった。美緒は、許してもいいと思ったら、相手にセックスOKの時期をはっきりと伝えていた。だから、妊娠したことはなかった。「それじゃ、先輩から、デートの日を指定してください。それも、何日から何日までと。プレイボーイだったら、きっと察しが付くはずです。それが、いいです」ゆう子はうなずいた。イサクとヤコブがプレイボーイであることは、間違いないと思った。基礎体温から、妊娠の期間をわりだすことにした。「わかった。日本人も、外人も、同じよね。美緒、ありがとう」

 

 大きな目をパチクリさせた美緒は、笑顔で大きくうなずいた。実のところ、美緒は、イケメンのイスラエル人とセックスしたかった。誰か紹介して欲しくなった。「先輩、そのイスラエル留学生に友達いるでしょ。友達を紹介してくれませんか?美緒も、白人と付き合ってみたいな~~。お願い、先輩」まさか、美緒がこんなことを言い出すとは夢にも思っていなかった。イサクとこれからどうなるかわからなかったが、相談に乗ってくれた恩返しにだれか紹介しなければ悪いような気になった。だれかといっても、思い当たるのは、ヤコブしかいなかった。でも、ヤコブは、美緒のようなタイプを好むかどうか?巨乳だけど、チビデブでカワイ~~ってほどでもない。でも、ヤコブが決めることだし、紹介だけはしてみることにした。「え、友達?いることには、いるけど。ヤコブっていうんだけど、医学部の学生。一度会ってみる?」

 

 美緒は、医学部の学生と聞いてワクワクしてきた。医科大学看護学科の学生だといえば、付き合ってくれそうな気になってしまった。「ぜひ会ってみたい。紹介して。いつ紹介してくれる?美緒は、いつでもいいんだから」とりあえず、イサクに話してみることにした。「わかった。イサクに聞いてみる。ヤコブがOKだったら、連絡する」美緒は、ジャンプして歓声をあげた。「やった~。先輩、ありがとう」美緒の喜びが理解できなかった。そんなに、白人がいいのだろうか?黄色人種は、白人にあこがれるのだろうか?ゆう子は、別に、白人だから付き合いたいとは思わなかった。イサクと付き合うのは、白人だからというのではなく、やさしさと聡明さにひかれたからだった。

 

 



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