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出会い

「ねぇ、人間って生き返ると思う?」

光がそう、俺に問う。

また、いつものくだらない会話だと思っていた。

光の次の言葉を聞くまでは···。

 

 


 

 

ある暖かい春の日だった。

中3になり、クラスの人も受験モードに入っていた。

そんな時、転校生がやって来た。

みんな、今頃か、と思ったであろう。

ちなみに俺はそう思った。

中3で転校してくるなんてよっぽどの事がない限りあり得ないだろう。

「初めまして。大柿光と言います。よろしくお願いします」

彼女はハキハキとした声で自分の名前を言った。

おおがきひかり····たくさん居そうな名前だ。

席は何処になるのやら·····と思いながら辺りを見渡す。

おや?おかしいぞ?空いているのは俺の隣しかないではないか。

当たり前のように光というやつは俺の隣の席に座った。

「よろしくね」

「お・・・おう」

向日葵のような眩しい笑顔は何も悩みが無さそうに思えた。

 

 


 

 

そのまま一時間目が始まった。

教科は数学だ。別に苦手という事もないが、得意いう事もない。

ふと、隣の席の光を見た。

見事に夢の世界へ行っている。

この学校に来て初めての授業だというのに始まって10分で寝てしまうとは相当な勇気だろう。

「はぁ~~~~」

こんな大きなため息は初めてだ。

そして顔をあげ、黒板を見つめた。

ギョッ!

ビックリした。黒板の横には血だらけのおじさんがいるではないか。

他の人には見えないらしく、その人が幽霊である事はすぐにわかった。

俺は小さい頃から幽霊が見える霊感の持ち主でこれまでにもたくさんの幽霊を見てきた。

しかし、俺と同じように霊感を持っている人は俺以外に2人しか知らない。

さらに、不幸な事にこの学校は元々墓地で幽霊も出やすい。

そんな時、光が目を擦りながら起きた。

光は黒板を見るなり、

「は?」

と言葉を洩らした。

光にもあの幽霊が見えるのだろうか。

いや、ただいつの間にか進んでいる授業を見てビックリしただけじゃないのか。

その確率の方が高いだろう。

結局、幽霊と光と先生のつまらない自慢話のせいで授業の内容が1つも頭に入って来なかった。

 

 


 

 

キーンコーンカーンコーン

 

授業の終わりのチャイムと共に隣の席の光が大きな欠伸をしている。

どうやらまだ眠いらしい。

せっかくの休み時間だというのに、光は机に伏せたまま動こうとしない。

この教室に入って来てから俺以外の人と話していない。

仕方ない。話しかけてやろう。

「ずいぶんと上から目線ですね」

は?誰に向かって喋ってんの?

「君だよ君!私の隣の席の君!」

「お・・・俺!?」

もしかしてさっき言ってた事、声に出てたのか!?

「出てない、出てない」

光は笑いながら言う。何だビックリした。

いや、待て。何でアイツ俺の考えてる事が分かるんだ?

声には出てないはず······。じゃあ顔か?

「顔なわけないじゃん。顔だけで分かったら天才だよ」

「やっぱそうだよなぁ~~ってはぁ!?」

「え・・・何?どうしたの?」

「な・・・何で俺の考えてる事わかんだよ!」

光は一瞬顔が強張ったが、ニィーーと口角をあげ、

「何ででしょうか?」

といたずらっ子のような笑顔で問いかけてきた。


この本の内容は以上です。


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