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 ミミルは繰り返し自分を呼ぶ声を聞き、声の主を探してどこまでも駆け回りたいと思った。緑の聖域から自由になる日を夢見た。
 そして、気がつくとミミルは桜の花びらが敷き詰められた草の上にいた。
 女の子が抱きつき何か言っている。どことなく聞き覚えのある声だった。しかし、ミミルは早く外にいる声の主に会うため無視した。
 外に出た途端にクラクラした。女の子が消えて、再び緑の聖域に戻された。
 それから毎日、ミミルは外に出ることを試みた。しかし、どこにも出口はなかった。
 声も聞こえなくなっていた。
 寂しい気持ちを紛らわすために桜の木に話しかけた。すると妹のアンヌが生まれた。
「わたしに話しかけてくれたのはミミル兄さん、あなたなのね! 会いたかったわ」
 アンヌはミミルに抱きつき、キスをした。
 ミミルは途端に気づいた。消えた女の子こそ姉のマノンで、ずっと自分に語りかけていた声だと。
 ミミルは激しく後悔して泣いた。
 あの時、マノンの手を取り、話を聞いていたなら、遠くにあると思っていた声は、そばにいるマノンの声だと気づいたのに。今はもう、欲しいものはどこにもない。
 ミミルの深く後悔する魂を見て、魔王は満足した。彼もマノンの魂を食べて後悔していたから。醜い姿さえもマノンに愛されたかもしれないというのに。


この本の内容は以上です。


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