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4 【広と忘】

 

こたつにぬくもり そのあと はっと

そうだ お茶とみかん 忘れてた

まだ冷たい足をなで 見渡せば 変化のあと

 

台所 ぐんぐん遠く なっていく

ちっぷす うっかり それもぐんぐん 遠ざかり

そうだ 宇宙 広がり続けて いるってね

広がった後 なにが どうなる?

 

覚悟を決めて 2匹のじゃんけん

だれぞ かちやら わからない

 

白犬 すっくと 立ち上がり

翼を得たような俊足 駆けて行く

目指すは淹れて忘れた お茶と

柔らかくて甘みさわやか 魔法犬仕様の みかん

 

行きはばっちり 戻りは遠く

わっせのその先 こたつむり

こぼれて飛んでいく 魔法犬お馴染みのちっぷす 呼んでいた

 

このへや 広がり続けたら

そのあと一体 なにがどうなる?

 

光の俊足 すべりこみ

ほら お茶 まだあったかいよと 荒い息の間に間に

 

はっ として 少し潤む目の先に

みかん どこへか 流れ去る星

 

・ ・ ・

 ラクシャさん: こ 今年のこたつ 躍動的だなぁ…はぁ骨がっ…

 

犬先生:千年以上生きたが、まだ未知があるとは。さあ 秘蔵骨ガム あっ

 


5 【仔と眺】

黒白にひき きょうは ごろりと

こたつの恩恵 まどろむ尻尾

眠るうち 気づけば 変化のあと

 

こどものすがたに なっていた

 

もそもそ ぶるると 仔犬たち

ぬくもる四角 その中へ

 

もう わすれてしまったかな?

いつのことだか おぼえているかな?

 

小さな足指 まんまるい目 せいいっぱいの おおあくび

 

ぶえぇと 声して 見てみたら ラクダ

ぼんやり はみを 噛んでいる

 

見渡せば キャラバンサライの夕景

 

壷 絨毯 スパイス 交易品を運ぶ ひとびと

ごはんのにおい 輪のうた 踊りと手拍子

 

いつのことだか おぼえているかな?

もう わすれて しまったかな?

 

いまはむかし いつかどこかに なっていく なか

 

すやすや2匹 いぬだんごになり 

遠き道のりの 夢を見た

 

・ ・ ・

 

 犬先生:いつであったか 何ぞそのような気のするようだ…くぅ~ん。

 

 ラクシャさん:僕もどこかで そうしてたような…わふわふ。


6 【水と棲】

 

ちゃぷ ぴちゃん

薄暗い白い部屋に 水音

薄らぐうたたね 頬なでつつ

よく見てみると 変化のあと

 

こたつの天板 たゆたう水面

 

みかん ぷかぷか

寝息の腕に おどる光

白い毛並みに 淡い虹色映え

つついてみても まだ夢の中

 

しかたないので ぺろぺろすると

どこか懐かしい味する もい なので

黒い渦巻き尻尾 ふんふん

 

どこから流れて きたんだろう

どこへ 流れて いくのだろう

 

すべての水が 消えたら いったい?

すべてが水に なったら どうなる?

 

アルマンダインの 黒犬の目と

アクアマリンの まだぼんやりした 白犬の目が

 

泳ぎ着き あくび中の首長竜と 観合った

 

・ ・ ・

 

 犬先生:ぺろぺろう~んピリッと美味いなァ…もう一杯!

 

 ラクシャさん:君…舌に小さなサメ 噛み付いてるよ?


7 【窓】

 

ひといきついて さぁ、あたろう

がしゃん とぶつかり 驚いて

気がつけば 変化のあと

 

こたつの ある面 窓になってる

 

寒さ 暑さ わずらい なさけ

隔て守るもの しめだすもの

 

謎がる2匹の 耳が ひよっと

 

幽かに じんた 風めく曇天

いつかの汽車が 厳冬の野を行く

雪かぶり 息するような音をさせ

 

大荷物のそわそわした顔たち 乗せて

からす鳴く小さな駅に 写真撫でるだれか 置いて

ぼおぉ と鳴らし 小さく 小さく

 

いつか それを みたかもしれない

 

凍る原野と ぬくもりの家

ほんとうはどちらに いるのだろう

きみは ぼくは

 

二匹 きょとんと顔を見合わせ

こたつに もいちど どっこらせ

 

とおくで とおぼえ呼ぶ声 響いた

 

・ ・ ・

 

 犬先生:あいすくりん、うまいぞ。君の分も用意してあるぺろぺろ。

 

 ラクシャさん:こらっそんな薄着で冷たいものを…!腹こわありがとう。

 


8 【いめとな】

 

なにやら ふっと めがさめた

夢の内容 回想のそばから 薄れていき

すこしむなしく 思う 目の先

気づいたら 変化のあと

 

こたつぶとんの模様から 何かの 頭

 

口笛で呼ぶと ひっこみかけて 見つめる目

豆さしだすと のびてきて かすかに鳴いた

 

ひとつの声に いくつも 答える

伸びた いきものたち ゆらり

たのしいだろうか こどくだろうか

 

やがてぶくぼこ みな登る泡となり

こたつはもとの 静かなこたつ

 

目覚めた夢から こぼれた いきもの

憩える場所まで 旅するだろうか

 

姿も 名さえ うつろいながら

 

茶の湯気に 一粒なにか 光り きえた

 

・ ・ ・

 犬先生:我が魔力の蓄積部たる髪々も こたつに収納できるかな?よし魔改…

 

 ラクシャさん:お、今日も目玉と星いるね。こたつの魔改造はやめようね。



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