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「花王」の生き方に学ぶ

営業時代から長く「花王」のビジネスのやり方を学んできた人間からすると感慨深いものが

あります。

販社の統合、情報システム改革、EVAの導入、洗剤のコンパクト化など、他社にいたもの

からしても数多くの勉強をさせてもらいました。

 

その中でも常盤社長時代だったでしょうか。

管理職研修の課題のひとつとして「文化生態学入門」西山健一(批評社刊)を通した研修が

あったようです。

研修の中身については当事者ではありませんのでわかりませんが、花王をベンチマークし

ていた者としては、花王の社内研修教材ということで購入し、現在まで長く読み続けていま

す。

 

 

 

近頃、「サステナビリティ」という言葉が聞かれるようになりました。

サステナビリティとは、辞書を確認すれば、『「持続可能性」を意味する英語の"susta

inability"のカタカナ表記「サスティナビリティ」と表記されることもありますが、「企業の

サステナビリティ」というとき、これは「企業が利益を上げ、将来においても顧客に製品

を供給し続けられる可能性を現在において持っていること」という意味です。企業のサ

ステナビリティには、上述の財務的な面のほかに、環境の側面(環境保護活動)、社会

的な側面(従業員に対する取り組み、社会貢献活動)が挙げられます。

サステナビリティと企業の社会的責任(CSR)とは切り離せない関係にあり、サステナ

ビリティを念頭に企業活動を行なうことで企業の社会的責任を果たすことになり、企業

の社会的責任を果たすことでサステナビリティを向上させるということができます』とい

うようなことが書かれています。

 

 

 

 

 

日本人の特徴かもわかりませんが、欧米のはやり言葉をカタカタにしてうまく活用しなが

ら企業運営をおこなうということですが、他方、本質的な意味で「持続可能性」を理解する

には多くの考え方に接することが必要となるでしょう。

多くの分野を超えて、それこそ総合的な知識の融合が必要となるのではないでしょうか。

「花王」の姿勢は、とくに常盤社長時代に徹底された感があるように思えます。

 

先日、花王は米欧のインクジェット用インクメーカー2社を買収すると発表した。日米欧で

インクジェット用インクに本格参入し、今後成長の見込める環境配慮型のインクを製造・

販売する。買収額は約100億円。

2025年に同インクの売上高を300億円とすることをめざす。

買収するのは米コリンズインクジェット(オハイオ州)とスペインのチミグラフホールディング

(バルセロナ)の2社。コリンズはインクジェット用で高い技術力を持ち、チミグラフも包装容

器の印刷用インクなどに強みを持つ。売上高は両社合計で年約100億円。買収完了はコ

リンズが7月、チミグラフが来年4月となる見通しだ。

花王は2社の買収を機に、環境に配慮したVOC(揮発性有機化合物)をほとんど含まない

インクの開発を進める。

印刷業界では今後、VOCの少ないインクの需要が急拡大するという。花王はインクでは後

発だが、沢田道隆社長は「技術革新で印刷分野を大きく変えたい」と述べ、環境配慮製品

への移行を先導したい考えを示した。

花王がM&A(合併・買収)に踏み切るのは、06年にカネボウ化粧品を買収して以来、約

10年ぶりとなる。

今後もインクや添加剤など化学品分野で買収を進める方針だ。

2016/6/20 19:49 日本経済新聞

 

このような事業買収の決断には、単に余剰資金を投資するだけではなく経営理念に基づ

く長期的な展望が必要となります。

 

では、経営理念は、常に従業員の中に存在しているのでしょうか。

経験してきたほとんどの企業では、大手企業に限らず中小企業まで形骸化していました。

結論からするとほとんどの企業が経営理念ではなく、目の前の利益なのです。

 

自己株の取得ではなく投資をおこなうことでROEを伸ばしていく花王の成長プロセスには、

おそらく経営理念にとどまらず、社会や文化、自然科学、あるいは民族学まで幅広い学び

の機会を与えていくことで企業の存在を考えさせているのではないか、と想像してしまい

ます。

とくに経営職や管理職における人間のあり方を問うているかのようです。

 

 

 

人とは、あらゆる機会を通して長期的に物事を考えながら、ビジネスをしていれば目先の

収益も適正に確保し、さらに自ら学ぶことで成長していく存在なのかもわかりません。

 

 

 

 


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最終更新日 : 2016-06-29 10:41:45

この本の内容は以上です。


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