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まえがき

このお話は、

インドとブータンを舞台にした、ちょっとした冒険小説だよ。

タイトルからお察しかとは思うけど、

「おとぎの国」に行くための、ガイドブックさ。

対象読者は、まぁ高校生くらいならじゅうぶん読めるんじゃない?

男性向けだけど、別に女性が読んだってかまわない。

シンデレラよりもアリスに憧れてるっていうんなら、読んどいたほうがイイんじゃない?

 

 

 


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最終更新日 : 2016-04-22 00:54:30

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プロローグ

「おとぎの国行き」の列車なんていうのは、存在しないんだよ。

日本にナイのは当然として、スリランカにもチョモランマにも、ありはしないんだ。

「おとぎの国」っていうやつは、

日本とアメリカの次くらいに有名な名前のクセして、誰もたどりつけやしない。

ビザも下りない。第一、誰がビザを発行するんだ?

僕が係員をやってやるから、まずはおとぎの国の就労ビザを発行してくれないかなぁ。

そんな皮肉も言いたくなるさ。

まぁとにかく、「行きたい!」と切望したって行けないんだよ。

いくらお金積んでも行けないし、むしろ、金持ちほど行けない。そういう仕組みなんだ。

世界におとぎ話は万もあるけど、

万札持っておとぎの国に迷い込んだ坊ちゃんなんて、いやしないだろ?

 

でも、行く方法がナイわけじゃないんだ。

 

 

とりあえず、

インド辺りに飛んでみたらいいよ。そうだな、コルカタ空港がオススメかな。

コルカタ空港の真っ黒スーツは、思いのほかいいヤツなんだ。今はどうか知らないけど。

昔はそうだったさ。ワイロも取らずにアライバルビザを発行してくれる。今はどうか知らないけど。

 

え?インドなんか行きたくないって??

そうだろうなあ。

路地裏はそこらじゅうがションベン臭いし、牛が糞尿たれながしながら歩いてるし、

観光業者はみんなサギ師だし、夜行列車に乗れば何かしら盗まれるし、

宿だって、子供の秘密基地みたいに小汚いよ。安宿はね。

子供の秘密基地のほうがマシかもしんないな。

でも、そんな子供の秘密基地みたいなインドに行きたくないっていうなら、

キミは「おとぎの国」にも行かないほうがイイよ。絶対そうさ。

だって、「おとぎの国」だって子供の秘密基地みたいなモンだからさ。

プレステなんて置いてないし、エアコンも無いんだ。エアコンも無いよ?おとぎの国には。

エアコンのある「おとぎの国」は、全部ニセモノだよ。

それはウォルト・ディズニーのイトコが造ったハリボテの国さ。よく出来てるけど、ハリボテさ。

 

キミ、ディズニーランド大好きでしょ?

だったらやっぱり、「おとぎの国」には行かないほうがイイよ。

「おとぎの国」っていうのはさ?ディズニーランドに飽きちゃった人向けの場所なんだ。

ディズニーよりもインドに行きたくなったなら、イイ線いってるね。

来年くらいにはキミも、「おとぎの国」に相応しい人材に育ってるかも。

それまでに、もう少し勉強しときなよ。

勉強って言っても、数学とかじゃないよ?

とりあえず「星の王子様」くらいは読んでおいたほうがイイね。

あとは、散歩をいっぱいしといたほうがイイ。

 

 


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エピソード1

とにかく僕は、あの日、

インドの北東にある、コルカタの空港に降り立ったんだ。

入国ビザも無しに、ハラハラしながら降り立った。

ひょっとしたら、門前払いを食らうかもしんないよ?航空券がムダになっちゃうかもしんない。

それでも飛んできて、降り立った。

そんくらいの冒険心は必須だよ。「おとぎの国」に行きたいなら、さ。

そんで、ビザ無くてビクビクしてたけど、

真っ黒スーツが思いのほかイイヤツでさ。すぐにビザ、発行してくれたよ。

ビザって知ってる?通行手形みたいなモンさ。

 

空港から出て、それでどうしたっけな?

玄関のすぐ前に、リキシャがいっぱい待ち構えていたよ。

リキシャっていうのは、インドの簡易タクシーさ。

原付きバイクにベンチを取り付けてある、安っすい乗り物さ。

いちおう、料金メーターだって搭載してはいるけど、たいてい壊れてるよ。

壊れてなくたって、ドライバーが自分で壊すさ。だからいっつも壊れてる。

なんで壊すかって?

メーターが壊れてないと、料金をボッタクれないからさ(笑)

ヤツらは、外国人観光客からお金をボッタクるのが、趣味なんだよ。生きがいなんだ。

まぁ、空港のリキシャは、ボッタクったりしないよ。

クーポンタクシーとかいって、料金をあらかじめ決めて、先払いで会計する。

まぁ、その時点ですでに、昔の料金の3割増しくらいにボってるんだけどさ(笑)

3割はボラれるけど、それ以上はボラれない。大した痛手は負わないさ。

 

それで僕は、オンボロなリキシャにのって、

騒がしく排気ガス臭い街並みを駆け抜け、サダルストリートにやってきた。

サダルストリートは、コルカタにおける安宿街だよ。

なぜ安宿を運営できるかっていったら、サダル周辺が、古いからさ。

100年以上も前から、ほとんど景観が変わってないらしいよ。

まぁ、旅行者向けの店は100倍にも増えただろうけど、

それだって、看板をすげ替えただけさ。建物は古いんだ。

 

「タイムスリーって宿に連れてってくれ」って頼んで、

「ヨシキタ!」って自信満々に笑ってたクセに、

サダルまで来た途端、リキシャの兄ちゃんはおどおどしはじめる。

場所がどこだかわかんないのさ。

ヤツら、言われた場所がどこだかわかんなくたって、

「ヨシキタ!」って言うんだ。虚勢を張るんだよ。ハッタリかますんだ。

んで、近くまで辿りついたら、そこらのジモティに片っ端から声かけて、

聞き込み調査をして、詳しい場所をさぐりあてる。

コレがたいてい、上手くいかないんだ(笑)

安宿のことなんて、ジモティは知らないんだよ。住人は、宿に用がナイもんね。

だから、誰に聞こうが牛に聞こうが、ラチがあかないんだ。

知らないなら「知らない」って言ってくれりゃいいのに、

「たぶんアッチだ」とか、テキトーなこと言うんだよ。みんなさ。

だから、アホらしいくらいにほっつき周ることになる。

 

そのうちヘキエキしてきて、

「いいよ。もう降ろしてくれ。」って降りちゃう。

自分で探したほうが早いさ。路地なんて、歩きのほうが小回り利くしね。

そんで、リキシャから降りたが早いか、

別のリキシャの兄ちゃんから声がかかる。

「リキシャ?リキシャ?」ってね。「乗ってかないか?」って意味さ。

今降りたばっかりの人間が、乗るわけねーじゃん!

ってツッコみたくなるんだけど、1日に100ぺんも、こういうことがある。

集客への情熱がハンパないんだ。わずか10m先の目的地だったとしても、

「100ルピー!」とか言ってくるし、乗せようとしてくる。

図々しいとかいうレベルじゃないさ。日本じゃ考えらんないな。

または、

最初から乗せる気なんかナイんだよ。断られることはわかってんのさ。

ただ、しゃべりたいから声を掛けるんだよ。ヒマ潰しなんだ。

リキシャなんて仕事は、ほとんどヒマなんだよ。バイタクもね。

1日に30分くらい客を乗せて、

あとはリキシャ仲間としゃべってるか、観光客をからかって過ごすんだ。

そんな気ままな生活を送ってる連中が、世界にはゴマンと居るんだよ。

5万よりもっと居るだろうさ。500万人くらいいるんじゃない?冗談でもなく。

世界は広いんだ。いろんなヤツがいる。

 

 


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